ベンチ入り逃した兄の分まで 双子の絆、高め合った夏

滝沢貴大
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(18日 高校野球和歌山大会 日高中津2-5日高)

 2点を追う三回表、1死一、三塁の好機で日高中津の1番打者・小岩井隆司君(3年)に打席が回った。「何としても走者をかえそう」。2球目、狙っていた外角の直球を中前へ運び、三塁走者が生還。反撃の口火を切った。

 チームには双子の兄・康司君(3年)がいる。幼い頃から兄弟でボール遊びをする仲で、小学3年生のときに一緒に少年野球のチームへ入った。以来ずっと同じチーム。約50人の部員が寮生活を送る実力高の日高中津へも、「一緒に頑張ろう」と大阪から2人で進学した。

 元々隆司君は一塁手、康司君は左翼手だが、3年生になってから隆司君は左翼手での起用が増えた。ポジションを争う関係になったが、康司君は打球音で芯に当たったかどうかを判断して一歩目を踏み出すことなど、外野守備の基本を教えてくれた。時に競い、時に励ましあいながら迎えた最後の夏。康司君はベンチ入りできなかった。

 「康司の分まで頑張ろう」。与えられた背番号は17だが、初戦で1番、一塁手として先発メンバーに起用されると、3安打2打点と結果を出した。

 試合前、康司君から、「緊張しないで、いつも通りで」と声をかけられた。三回の打席では、その助言を生かすことができた。この日、ボールボーイだった康司君も、静かに喜んだ。

 昨夏の独自大会で敗れた、「本校」の日高に借りを返すことはできなかった。「悔しいけど、最後までやりきれた。一緒だったからこそ頑張れた。2人でやってきてよかった」(滝沢貴大)