ケルアックと「オン・ザ・ロード」 作品世界を読み解く

富岡万葉
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 画一化された生活から、路上へ。後のヒッピー文化の源流となり、音楽や映画の分野にも影響を与え続けている米国の小説家・詩人ジャック・ケルアックの小説「オン・ザ・ロード(路上)」。その作品世界を読み解く展覧会が、神戸市のBBプラザ美術館で開かれている。

 「ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』とビート・ジェネレーション 書物からみるカウンターカルチャーの系譜」展では、約380点の資料を展示。アレン・ギンズバーグら、「オン・ザ・ロード」の登場人物のモデルとなったビート・ジェネレーション作家との関わりも解説する。ケルアックが詠んだ英語俳句や全著書の初版本のほか、日本でカウンターカルチャー黎明(れいめい)期に発行されたミニコミ誌も紹介している。

 ケルアックがタイプライターを思うままに21日間打ち続けて仕上げた「スクロール版」初稿の複製には、モデルの実名や手書きの文字が残る。例えば、冒頭で、ある人物を西部劇の人気俳優になぞらえる場面。ケルアックは鉛筆で「cowboy(カウボーイ)」と書き込んでいる。1957年に出た初版本にはない言葉だ。展示を監修した神戸市外国語大のマシュー・セアドー教授は「ケルアックがモデルに典型的なカウボーイ像を見ていたことや、自身の西部への憧れを表現するのに必要なイメージをメモしていたのだろう。映画というアメリカ文化の根源を視覚情報として採り入れたことも、作品をモダンにした要素の一つでした」と話す。

 8月8日まで。(富岡万葉)