第7回押し寄せるトランプ支持者 議事堂内で母は死を覚悟した

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ワシントン=園田耕司
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 1月6日午後1時、米連邦議会議事堂で、米大統領選の選挙結果を確定させる上下両院合同会議が始まった。

 民主党下院議員のスーザン・ワイルドは下院本会議場の2階の傍聴席に座っていた。コロナ禍のもと、ソーシャルディスタンシング(他人との1・8メートルの距離)を取る必要があるため、全議員が1階の議場内に座りきれなかったためだ。ほかにも、同僚である民主党下院議員のジェイソン・クロウらも同じようにワイルドの近くの傍聴席に座っていた。

7月上旬に配信した連載「トランプの反乱 再選への策謀」(全6回)では、昨年11月にバイデン氏が当選確実になってからも、トランプ氏と周辺の関係者らが大統領選挙結果を覆そうとうごめく様子を伝えました。今回からは「トランプの反乱 議事堂襲撃事件の真相」(全7回)を配信します。今年1月6日、数千人のトランプ氏の支持者たちが暴徒と化して米議会議事堂を襲撃した歴史的事件の背景に迫ります。

 本会議場では、アリゾナ州の選挙結果の確定をめぐる議論が行われていた午後2時ごろ、ワイルドは携帯電話に、議会警察から3通のメッセージを相次いで受け取った。

 1通目は「議事堂の建物の外にデモ隊が集結している」という警告だった。2通目は「デモ隊が議事堂の境界線を突破した」、さらに、3通目は「デモ隊が議事堂内に侵入した」と記されていた。

 ワイルドは「そこから事態はめまぐるしく展開した」と振り返る。

 ワイルドが階下の本会議場を見下ろすと、最初に下院議長のナンシー・ペロシや民主党院内総務のステニー・ホイヤーら幹部が警官らに誘導されて退避。その後、ほかの大勢の議員たちも出口に向かって走り、退避しているのが見えた。

 ところが、2階傍聴席にいたワイルドはほかの同僚議員と一緒にその場に取り残されてしまった。

 2傍聴席にはもともと出口が少ないうえ、暴徒たちの侵入を防ぐため、ほとんどの出口がバリケード封鎖されたからだ。ワイルドのいる場所の反対側にある最も遠い出口だけが唯一、使える状態だったという。

 ワイルドは傍聴席の間の狭い通路を通って出口に向かって進もうとしたが、1カ所だけしかない出口に向かう人たちで通路は混み合い、なかなか前に進むことができなかった。

取り残されたワイルド氏たちに暴徒化したトランプ氏の支持者が迫ります。記事後半では、ワイルド氏が当時の様子を証言しています。さらには、ペンス副大統領も間一髪だった様子なども伝えます。

 傍聴席の椅子の下には緊急事…

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