前市長、防衛省に「だめだ」 陸自めぐる贈収賄で検察側

寺本大蔵
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 沖縄県宮古島市への陸上自衛隊配備をめぐる汚職事件で、前宮古島市長の下地敏彦被告(75)=収賄罪で起訴=に現金600万円を渡したとして、贈賄罪に問われた被告の初公判が19日、那覇地裁(大橋弘治裁判長)であった。検察側は冒頭陳述で、前市長が駐屯地用地の選定に深く関わる発言を防衛省職員にしていたことなどを明らかにした。

 贈賄罪に問われたのは、ゴルフ場経営の「千代田カントリークラブ(CC)」役員、下地藤康被告(64)。「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、被告が経営に行き詰まり、土地を売って借金を返済したいと考えていたところ、自衛隊関係者などから千代田CCの土地が陸上自衛隊駐屯地の候補地となっていることを耳にしたと説明。2014年末ごろから宮古島市役所を訪れ、前市長に「必ずお礼はします」と述べ、陸自配備の受け入れを表明するよう陳情を繰り返していた、と述べた。

 冒頭陳述によると、防衛省は15年1月ごろまでに、駐屯地用地は別の土地が最適地と決めていたが、前市長が防衛省職員に対して「だめだ」「千代田CCを中心に提案してくれ」「千代田CCは全域を取得してほしい」と要望したという。

 前市長はその後、陸自配備の受け入れを表明し、最終的に千代田CCの土地に駐屯地が建設されることになった。検察側によると、千代田CCは17年10月、防衛省と土地の売買契約を結び、防衛省から数回にわたり計約18億円が入金されたという。

 検察側は、被告が架空契約で裏金を捻出して18年5月、前市長の県外出張に合わせて東京都内で面会し、「ありがとうございました」などと言って、紙袋に入れた現金600万円を前市長に手渡した、と説明した。(寺本大蔵)