知事、災害公営住宅整備の方針

植松敬、村野英一、黒田壮吉
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 静岡県熱海市伊豆山地区で起きた土石流災害で、川勝平太知事は19日、恒久的な災害公営住宅を整備する方針を明らかにした。市内にある県営住宅「七尾団地」の駐車場などの空き地を使って、40戸が入る4階建ての建物2棟を建てる構想も示した。

 川勝氏は、同日開かれた全国知事会後の報道陣の取材に「500人弱の生活と生業の再建、そこにすべて注力したい」と述べ、災害公営住宅をつくる方針を示した。被害の全容が判明しない中で「全壊や大規模半壊などが200戸以上」といった国の補助基準を満たすか否かは不明だが、川勝知事は「待つことはできない」と強調。そのうえで、国の補助を求めた。

 この日の全国知事会は、今回のような災害を繰り返さないために、盛り土などに関して法制化による全国統一基準・規制を早急に設けることを要望した。

 熱海市では同日、市内のホテルに滞在していた避難者の一部が自宅に戻り始めた。ホテルを退去した22人について、市が「ご自宅の方へ戻っている」と明らかにした。

 市内のニューフジヤホテルへの避難者は19日正午時点で451人。市によると、土石流の直接の被害がなかった家で水道や電気の供給が改善したことや、避難者は20日から別の二つのホテルへ移動することをきっかけに、帰宅の意思を示す人が出てきたという。

 市は捜索が続く「緊急安全確保区域」と生活基盤の復旧などに取り組む「調整区域」を18日から設定。両区域以外について、帰宅できる条件が整ってきたとみられている。(植松敬、村野英一、黒田壮吉

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 静岡県熱海市で発生した土石流で、川勝平太知事は19日の県議会で、盛り土の届け出などについて定めた県土採取等規制条例について「今回の災害発生を真摯(しんし)に受け止めると、条例は十分ではなかった」という認識を示した。その上で、条例を厳格化する方針を改めて示した。

 自民改革会議の西原明美県議の質問に答えた。

 県などによると、盛り土は、神奈川県小田原市の不動産業者が2007年に条例に基づいて熱海市に出した届け出に基づいて造成された。行政側の再三の指導にもかかわらず土砂が搬入され、計画と比べて約1・5倍の量、約3倍の高さの規模になったと推定されている。県は盛り土が被害を甚大化したとみている。

 川勝氏は「三重県など他県の条例を参考に、速やかに抜本的な条例の見直しを行う」と述べた。県によると、静岡は届け出制だが、三重県許可制で、より厳しい内容という。

 県は「行政手続き確認作業チーム」と「発生原因究明作業チーム」による調査を進め、事実関係が明らかになった段階で、第三者による検証を行う予定だ。川勝氏は「検証の結果、行政側の危険性の認識や対応についても明らかになると考えている」と話した。

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 静岡県熱海市土石流災害で、県や市は19日、市内のホテルに避難している住民の希望者を対象に、新型コロナウイルスのワクチンを接種した。ホテルでの集団生活で感染拡大を防ぐ狙いもある。

 対象となるのは接種を希望している12歳以上の避難者で、80人ほどという。避難住民のほか、避難所の運営に当たる市職員にも接種する。

 この日、希望者は県が用意した貸し切りバスで熱海市内のホテルから伊豆の国市順天堂大学付属静岡病院に移動し、ワクチンを接種した。