「悔しい、でも…」 W杯決勝でなでしこに敗れた意味

サッカー

遠田寛生
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サッカー女子 ミーガン・ラピノー(アメリカ)

 ミーガン・ラピノー(36)はいまや、世界のスポーツ界の「顔」だ。

 間違っていると感じれば相手が米大統領でも、物おじせずに発言する。記者会見では社会問題について幅広い質問が飛び、男女格差や人種差別などについても意見する。

 もちろん、選手としての能力もずば抜けている。左サイドを主戦場とするFWで、スピードを生かした突破は相手にとって脅威だ。得点能力にも優れ、精度の高いキックでFKやPKのキッカーも担当する。2019年には女子の世界最優秀選手に選ばれた。

 女子サッカー界で長らく頂点に君臨してきた米国代表の主力として、チームの先頭に立ってきた。だが、大会4連覇をかけて臨んだ16年のリオデジャネイロ五輪では、準々決勝でスウェーデンにPK戦の末に敗れた。「自分たちにとって、優勝以外は完全な失敗。リオではタスク(課題)を遂行できず、がっかりした」

 だからこそ、今大会にかける思いはひとしおだ。「リオを戦ったみんなが、あの大会で五輪の経験を終わらせたくないと思っている。いいパフォーマンスを出せると期待している」

 11年7月にドイツで開かれたワールドカップ決勝でもピッチに立った。相手は日本。2度のリードを奪うも追いつかれ、PK戦に敗れて涙をのんだ。その瞬間はふさぎこんだが、東日本大震災に見舞われたばかりの国の代表が世界一になったことを、素直に祝いたい気持ちになったという。

 「ひどく悲しい震災で多くの人が亡くなっていた。負けて悔しい気持ちはあったけど、日本が成し遂げた偉業、あの優勝が(国に)どんな意味を持つかを考えると喜ばしい気持ちになった」

 あれから10年。当時思いを巡らせた相手国で、てっぺんに立つ自分をイメージしている。(遠田寛生)