ずる休みのために偽の「陽性証明書」 会社員の注文多発
新型コロナウイルスの感染が急拡大するインドネシアで、新型コロナ関連の偽の証明書が出回っている。国内では長距離移動の際にワクチン接種証明書などの提示が必要だが、接種が進んでおらず、欲しがる人が相次いでいるためだ。「ずる休み」のために、PCR検査の陽性証明書も売買されている。
インドネシア政府は3日、都市圏をまたぐ長距離移動者に対し、ワクチン接種証明書とPCRまたは抗原検査の陰性証明の提示を義務化した。ただ、国内で1回目の接種を終えたのは人口の約15%の約4200万人。PCR検査も1回80万ルピア(6千円)程度と現地では比較的高価なことから、偽の証明書を求める人がいる模様だ。
警察も取り締まりに動く。証明書の偽造やその使用などで、30人以上が逮捕された。首都ジャカルタの警察によると、逮捕者の一部はSNSを使って偽造証明書を1枚10万ルピア(約750円)で販売。ワクチン接種証明書については、保健省の用紙を精巧に再現。100人以上が購入したとみられている。
PCR検査については、偽の陽性証明書も出回る。ジャカルタ警察によると、陽性証明書は、会社員による注文が多く見られると言い、担当者は「会社を休んだり、在宅勤務を求めたりするために使われているようだ」と分析する。
首都近郊のスカルノ・ハッタ国際空港では証明書の確認がおもに目視で行われている。空港で新型コロナ対策の責任者を務めるダルマワリ・ハンドコ氏は「偽物が出回っていることは把握しているが、見破る術がない」と話す。証明書のデジタル認証を進める対策を講じる予定だが、実施時期は未定だという。(半田尚子)
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