スマホが指紋認証しなくなる スポーツクライミング選手の「指先力」

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 新種目のスポーツクライミングは、「第1関節がぎりぎり引っかかるかどうか」という極小のホールド(突起物)をつかんで壁をよじ登る。問われるのは握力ではなく、指先だけで体重を支えられるかどうか。「保持力」とも呼ばれる特殊能力だ。

 日本女子の第一人者、野口啓代(TEAM au)は「一番大事なのは、指先力。(鍛えるには)いろんな形のホールドを持つしかない。長い時は1日8時間くらい練習する」と語る。

 「どのくらい指が引っかかればぶら下がれる?」という質問に、男子代表の原田海(日新火災)は「(板状の)ガム2枚くらい(凹凸が)あれば、たぶん大丈夫。5ミリくらい」と言う。

 大会の取材では、選手たちから「指皮(ゆびかわ)」という耳慣れない単語を聞くことが多い。指先をあまりに酷使するため、壁を何度も登っているうちに皮がすり減ってしまうという。

 男子代表の楢崎智亜(TEAM au)は、五輪切符をつかんだ2019年の世界選手権の終盤、「指皮がやばい。めちゃくちゃ痛いです。皮がなくなっちゃうと、本当にホールドが全然持てなくなってしまう」。激しいトレーニングの後も同様で、指先がピンク色になったり、場合によっては血がにじんだりする。

 指皮は時間とともに治るが、大会や練習の直後に困るのが、スマートフォンの操作。楢崎が苦笑交じりに語る。「スマホ指紋認証は反応しなくなります。クライマーなら、経験者は多いと思います」吉永岳央