バッハ会長、開催へ「眠れぬ夜も」 批判に反論も

遠田寛生
[PR]

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は20日、東京で開かれたIOC総会の冒頭で演説し、23日に開幕する東京オリンピック(五輪)を準備してきた日本に感謝の意を示し、大会への期待感を語った。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した昨春以降、初めて大半の委員が集まって開かれた総会となった。バッハ会長は「ようやくここ、東京に来られることができた。パンデミック(世界的大流行)で、長い間お互いに離れることを余儀なくされてきた。みなさんに会いこうやって一緒にいられることは、非常に特別で感情的にもなる」と神妙に話した。

 コロナ禍でも開催にこぎつけられたのは日本側と築いてきた堅い信頼関係だとして、「我々は日本の真摯(しんし)に取り組む姿勢や、粘り強さの美徳をさらに敬服するようになった」と語った。

 大会に向けては「世界最高の選手たちが、五輪での夢を実現する期待を抱いている。選手たちが世界を輝かせ、刺激を与えるための舞台は整った。彼らの驚くべき業績や努力、卓越性、感情、喜び、涙が五輪の魔法を生み出す」と期待を込めた。そして「とても難しい決断を迫られてきた日本が、輝く時でもある。この五輪は、日本から世界に向けて強力なメッセージを発する。平和、連帯、回復していく力……。世界中の何十億もの人々がこの五輪をフォローし、感謝するだろう。そして多くが日本人が成し遂げたことを褒めたたえるだろう」と話した。

 これまで受けてきた批判に対する見解を示す場面もあった。感染状況が収束していない中で開催を決めたのは「アスリートのため」とした。

 昨年3月に1年延期を決めてから、本当に開催できるのか心配はつきなかったという。「過去15カ月間、我々は非常に不確実な理由で日々の決定を下さなければならなかった。毎日疑問を持っていた。眠れない夜もあった。世界中の人々と同じように、我々は、そして私も未来がどうなるか分からなかった」

 反論もした。「なぜこれらの疑問を明かさなかったのかという質問も受けた。一部では、周りが見えず我々がどんな犠牲を払っても前進するサインでさえあると解釈もした」

 その疑問を語らなかったのは、選手や各国・地域オリンピック委員会、国際競技団体や国際社会への影響を考えてのことだったという。「もしオリンピック運動を引っ張るIOCが、火に油を注いでいたとしたらどうなっていたか想像してみてもらいたい」

 「(もし発言すれば)我々の疑問は、予言のようにその通りになってしまったかもしれない。五輪はバラバラになっていた可能性がある。だからこそ、我々の胸の内に疑問をとどめなければならなかった。これは我々に、そして私にも重くのしかかった。だが、今日という日を迎えるには、我々は自信を与えていかなければならなかった」

 総会は2日にわたって行われ、大会組織委員会は20日に開幕前の最終報告をする。21日には2032年夏季五輪の開催地をオーストラリアのブリスベンにすることを承認するかどうかの投票が行われる。(遠田寛生)