背が低くても金 バスケ男子・日本のお手本アルゼンチン

バスケットボール

松本麻美
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 バスケットボール男子がオリンピック(五輪)で正式種目になったのは1936年ベルリン大会だ。

 それ以降、バスケット発祥の国アメリカ(米国)代表が最多15回、五輪を制しているが、過去4度、金メダルを逃したことがある。

 直近で逃したのが、2004年アテネ大会。その準決勝で米国を破り、頂点に立ったのが、日本が8月1日の第3戦で対戦するアルゼンチンだ。

 北欧と比べて、決して体格的に恵まれているわけではない。アルゼンチンの18歳男子の平均身長は172・6センチ。実は、日本男子と1・6センチしか変わらない。身長がものをいうバスケット。アルゼンチンは実に、1952年ヘルシンキ大会に出場後は96年アトランタ大会に出るまで44年間、五輪出場からも遠ざかっていた。

 そんなチームが五輪で金メダルを取るまでに成長したのは、長期的な視野に立って育成し、培ってきた組織力だ。アテネ五輪の主力メンバーはユース時代から共にプレーし、あうんの呼吸があった。流れるようなパスと高確率のシュートをもって、アレン・アイバーソン(当時76ers)や19歳のレブロン・ジェームズ(当時キャバリアーズ)など米国代表のNBA選手たちを翻弄(ほんろう)した。

 この時コートに立っていたルイス・スコラは2007年に渡米。10年間でロケッツなどNBAの5クラブを渡り歩き、41歳のいまでも現役を続け、東京五輪の代表にも選ばれた。

 現在、世界ランキングは4位。世界選手権(ワールドカップ=W杯)は1950年に優勝、2002年と直近の19年に準優勝している。

 身長の低いアルゼンチンの象徴的な選手が、司令塔のファクンド・カンパッソだ。

 178センチと小柄ながら、視野の広いパスセンスとスピーディーなゲームコントロールを武器に、名門レアル・マドリードで2度のユーロリーグ制覇を経験している。19年W杯の直前に強化試合で日本と対戦したとき、その激しい守備も印象に残した。

 20年には29歳にしてNBAナゲッツと契約。13年のドラフトで指名を得られなかった悔しさを晴らし、1年目は65試合に出場して1試合平均6・1得点、3・6アシストを記録した。

 日本代表の渡辺雄太(ラプターズ)と米ジョージワシントン大でチームメートだったパトリシオ・ガリーノも東京五輪代表に。学生時代に2人が交わした「お互いに日本とアルゼンチンの代表として五輪で会おう」という約束が果たされた。

 小さくても世界で戦える。それは日本にとってもお手本のスタイルだ。実際に、日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長はアルゼンチンの施策を参考にして、日本の強化を図っている。

 日本代表を率いるのは、アルゼンチン人のフリオ・ラマス監督だ。NBAでの実績こそないものの、スペインの強豪でも指揮し、アルゼンチン代表も率いた経歴を持つ。代表アシスタントコーチとして、08年北京五輪の銅メダルも経験している。

 東京五輪の組み合わせ抽選で日本とアルゼンチンの対戦が決まった際は、名将も思わず、「母国とだけは避けたかったのに」と苦笑していた。

 ゆかり深い両国は、8月1日に対戦する。松本麻美