燃える「島魂」は風に揺れ 1人の3年が守り続けた誇り

抜井規泰
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(19日、高校野球東東京大会 大島0-5大森学園)

 大島を応援する三塁側のスタンドで、「みせろ! 島根性」の横断幕が、時折吹く風に揺れていた。

 部員不足にコロナが重なり、練習試合が組めず、昨秋の都大会わずか1試合の実戦経験で夏を迎えた。しかも、部員10人のうち2年が7人、1年が2人。主将の平野生は、たった1人の3年生として9人の下級生を引っ張ってきた。

 新任教諭で今春着任した高島凱哉監督(22)のもとで実戦形式の練習を積み、3年ぶりの夏の勝利をつかみ、3回戦に。だが、この日の相手は今大会の第3シード・大森学園。戦力と経験を考えれば、コールド負けも頭をよぎる強豪だ。

 だが、踏ん張った。1回に2死満塁、2回にも2死一、三塁の好機を作った。後半に失点したが、最後までシード校に楽な戦いはさせなかった。

 1人でチームを引っ張り、グチを言う相手もいなかった平野が大切にしていたことがある。「一球一球に全力を尽くす」。それが島根性であり、「島魂(とうこん)」と呼ぶ野球部の伝統だ。

 涙はなかった。「全力を尽くしました。悔いはありません」。流れる汗をぬぐい、たった1人で担い続けた大島野球部の「島根性」「島魂」のたすきを後輩に託した。=都営駒沢(抜井規泰)