「鬼に金棒」 白井健三さんが憧れる体操界の絶対女王

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構成・金島淑華
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 リオデジャネイロオリンピック(五輪)の体操女子で4冠に輝いた米国のシモーン・バイルス(24)は、東京五輪でも何個のメダルを手にするかに注目が集まる。リオ五輪男子団体金メダリスト白井健三さん(24)は尊敬する選手に彼女の名前を挙げる。絶対女王の魅力を語ってもらった。

体操・白井健三が語るシモーン・バイルスの魅力

シモーン・バイルス

 2016年リオデジャネイロ五輪で体操女子団体、個人総合、種目別跳馬、同ゆかの4冠。世界選手権の個人総合では15年に女子で初めて3連覇を達成するなど、これまで出場した5大会すべてで金メダル。世界選手権で獲得した総メダル数25個、金メダル19個は、ともに男女を通じて史上最多。

 男子選手ですら『まじか』と驚くような難しい技を軽々とやってしまう卓越した存在です。跳馬では飛距離が出すぎて、テレビカメラが彼女を追うと、着地の時には跳馬が映りません。男子でも、あんなに遠くまで跳ぶ選手はなかなかいないです。

 ゆかの「後方抱え込み2回宙返り3回ひねり」は男女を通じて最高の「J難度」。「バイルス2」の名前がついています。男子でも「G難度」に認定されている大技で、女子で他にできる選手を見たことがありません。彼女はこの技をやらなくても勝てるのに、そこに照準を置くのではなく、自分にしかできないことを追い求め続けているところを尊敬しています。

 バイルス選手の演技を初めて生で見たのは、僕と彼女が初出場した2013年世界選手権(ベルギー)の事前合宿地、オランダでした。当時はパワーはすごいけど、あり余る力をコントロールできずに着地が大きく乱れたり、平均台で何度も落ちたりしていました。

 印象が変わったのは2年ほど経った頃。演技の安定感が増し、自信もみなぎっているように感じました。13年世界選手権の個人総合でチャンピオンになった後、基礎から見直したそうです。それが実を結んだのかなと思いました。

 本番と同じように最初から最後まで演技する「通し練習」の時、ある技で失敗したら、普通はその技だけを反復して練習します。でも、彼女は一つ前の技からやり直していました。単発でやらず、一連の流れの中で技を成功させるため。単発でやるよりしんどいけれど、彼女ほどの選手でもあれだけ練習しているんだと心を動かされ、僕もすぐに練習に採り入れました。

 細かいことを気にしない豪快なところも憧れる理由のひとつです。

 たとえば、普通の選手は演技…

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