白人じゃないと帰国禁止? 豪州、差別のにおいに世論は

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シドニー=小暮哲夫
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 「隣人の7割ほどが感染したようだ」。インドの首都ニューデリーに滞在していたインド系オーストラリア人のサニー・ジョウラさん(49)は5月、電話取材に新型コロナウイルスにおびえる日々を語った。「自分や病気がちな母もいつ感染するかわからない」

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 インドでは4月に入り感染が急拡大。ジョウラさんは里帰りしたニューデリーに母(72)とともに足止めされていた。電話越しの声には困惑も交じっていた。3日前の5月1日、厳しい状況に追い打ちをかける出来事があったからだ。

 ハント豪保健相はこの日、インドからの入国禁止を発表した。違反者には最大で禁錮5年と罰金6万6600豪ドル(約540万円)を科すという厳しい内容。しかも、その対象は、コロナ禍で入国を規制してきた外国人だけでなく、自国民や永住者も含んでいた。

 感染の水際対策を理由にしていたが、昨年末から年始にかけて英国や米国で感染が猛威をふるっていたときには、こんな措置はなかった。人口あたりの感染者数では、当時の英米の方が4月のインドよりずっと多かった。

 この時、インドには豪国民や永住者が9千人余りいたが、ほとんどはインド系の人たち。自国民でも白人ではないから厳しい対応が取れるのではないか。こんな考えが私の頭をよぎった。

 昨年2月の出来事も思い出した。政府は、感染が広がる中国・武漢から自国民を退避させる帰国便を手配したが、大半は中国系の人たちで到着地は豪本土から1500キロも離れたインド洋の島。隔離に使われたのは難民として保護を求める人向けの施設だった。

 感染の危険が高い外国から避難しようとする自国民に国境を閉ざし、違反したら刑務所に入れる。もし、自分が似た事情で日本への帰国を禁じられたら、とも想像した。

 一報だけで終わらせていい話ではない。インドで足止めされている豪州人たちに実情を聞いてみよう。こう考えてSNSなどで探して取材した一人がジョウラさんだった。

 ジョウラさんがニューデリー…

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