小山田圭吾さん辞任までの舞台裏 そもそもなぜ起用?

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野村周平 菊地直己 小野太郎 吉沢英将
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 同級生や障害者に対するいじめを過去の雑誌で発言していたミュージシャンの小山田圭吾さん(52)が19日、東京オリンピック(五輪)開会式の作曲担当を辞任した。当初は続投させる方針だった大会組織委員会が対応を変えた背景には、首相官邸の意向も見え隠れする。

 組織委は14日にパラリンピックを含む東京大会の式典演出担当者を発表。小山田さんの役割が明らかになると、直後から1990年代に出版された雑誌や書籍のインタビュー内容がネット上で拡散し、小山田さんや起用した組織委への批判が広がった。

 組織委は16日夜、過去の発言を「不適切な発言」とした上で、同日夕に謝罪文を出した小山田さんを続投させる意向を示した。17日の記者会見で武藤敏郎事務総長は「現時点で反省をして倫理観を持って行動したいと言っている。(開会式直前の)このタイミングなので、彼には支えていただきたい」と述べていた。

 しかし、その後も障害者団体が声明を出したり海外メディアが問題を報じたりして批判は収まらない。インタビューを掲載した雑誌の編集長もウェブサイトで謝罪した。

「首相は強い問題意識を持っていた」

 危機感を募らせたのは政権だった。組織委と一体で五輪開催に取り組み、「組織委への批判は政権批判に直結する」(菅義偉首相周辺)ためだ。

 武藤氏の発言を受け、官邸では「とてももたない」(幹部)として組織委の対応を問題視。海外メディアの報道も懸念材料となり、丸川珠代五輪相が組織委側に「(対応が)理解できません」と直接懸念を伝えた。

 さらに19日、加藤勝信官房…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2021年7月20日23時3分 投稿
    【視点】

    国立競技場のデザイン案にせよ、大会エンブレムの撤回にせよ、森喜朗前組織委会長の女性蔑視発言にせよ、本件にせよ、さらにきょう新たに辞退が明らかになった絵本作家の件にせよ、「炎上」という一言でくくれなくはないでしょう。けれども、前段の二つの問題

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