五輪女子サッカー 主力になる埼玉選手

堤恭太 米沢信義
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 東京五輪は23日の開会式に先駆けて、21日に女子サッカーの一次ラウンドなどが始まる。この日、札幌ドームカナダとの初戦を迎える女子日本代表(なでしこジャパン)の主力を、埼玉県出身選手が担っている。

なでしこジャパン」で攻撃のタクトを振りゴールも狙うのがMF(ミッドフィールダー)の長谷川唯選手(24)だ。

 埼玉県戸田市立戸田南小学校、戸田中学校出身の戸田っ子。小学校に入学すると兄の影響で戸田南FCスポーツ少年団に入団し、男子に交じってサッカーを始めた。小2の時に女子チームの戸木南(ときなん)ボンバーズに。当時の監督だった田中治夫さん(68)は「今も小さくて細いが、当時もちっちゃかった」と振り返る。

 でも、ドリブルでは5、6年生を翻弄(ほんろう)。強気なプレーで当たり負けはしなかった。現在はイタリアのACミラン所属。身長157センチ、体重47キロで屈強な海外選手と渡り合う下地は戸田でできあがっていた。

 頭もよかった。田中さんは長谷川選手がオフサイドをとられた記憶がないという。「手がかからない子で自由にやらせていたよ」。持久力もずば抜けていて戸田の駅伝大会でもぶっちぎり。男子チームの同少年団と掛け持ちし、そこでも主力だったという。

 年代別の日本代表を飛び級で務め、U17W杯では初優勝の中心。欧州でも引く手あまたの天才選手だが、簡単にできあがったわけではない。自宅の駐車場を潰して人工芝を張り、トレーニング場に改造。軽量を補うために体幹、体力をぎりぎりまで鍛えて戦っている姿を、田中さんは知っている。

 日本で在籍していた日テレ・ベレーザの先輩で日本女子サッカー界のレジェンド澤穂希さんが目標だ。ポジションも重なる。2018年に市スポーツ栄誉賞第1号に選ばれた際、「女子サッカーの人気は下降気味。五輪で結果を出すことが大事」と語っていた。

 澤さんらが東日本大震災で打ちひしがれた日本にワールドカップ優勝で光を宿したように、コロナ禍の今、五輪で輝いて周囲を明るく照らして欲しいと期待されている。(堤恭太)

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 「優勝めざせ」「金メダルだ」。「なでしこジャパン」のDF南萌華選手(22)の地元、吉川市の少年サッカーチームの子どもたちが、応援フラッグにメッセージを書き込んだ。

 南選手は小学校時代に吉川ホワイトシャークサッカースポーツ少年団で頭角を現し、やがて浦和レッズレディースの主力に。少年団のイベントにも何度か参加している。

 少年団の子どもたち16人は今月3日、南選手の母校の栄小学校のグラウンドに集まり、応援フラッグに先輩への思いを書き込んだ。

 伊藤響君(9)は昨年5月、母親と出かけた近所の公園で、黙々と坂道ダッシュを繰り返す南選手に偶然出会った。女子サッカーなでしこリーグがコロナ禍で延期となり、試合ができなかった時期の自主練習だった。「ホワイトシャークです」と名乗ると、「がんばってね」と気さくに写真撮影に応じてくれた。「走るのがすごく速くて、やさしかった」。旗には「がんばれ 金メダル」と書いた。

 「小学生のころから男子に交ざっても、南さんは技術とスピードが抜群だった」と振り返るのは、少年団監督の石野真さん(57)。「シャイな子だったけど、経験を積んでたくましくなった。五輪では点を取ってほしい」

 応援フラッグは、市内のほかのサッカーチームや市民のメッセージも加えて届けられた。南選手は9日、自身のツイッターで「とても感動しました。皆さんの温かい応援メッセージを胸に、全力で頑張ってこようと思います」と感謝を表した。

 「なでしこジャパン」には浦和レッズレディースから南選手のほか、GK池田咲紀子(28、さいたま市出身)、MF塩越柚歩選手(23、川越市出身)、FW菅沢優衣香選手(30)の各選手が入った。14日の五輪前最後の強化試合(対オーストラリア)では、菅沢、塩越、南のレッズレディース3選手と長谷川選手が先発出場している。(米沢信義)