ソフト上野由岐子「ゴールまで一本道じゃない」 再び五輪マウンドに

ソフトボール

井上翔太
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(21日、ソフトボール 日本8-1オーストラリア)

 東京オリンピック(五輪)が延期される前の開幕戦だったら、ソフトボール女子日本代表の上野由岐子は、先発マウンドに立っていなかったかもしれない。

 宇津木麗華監督が、今年3月の代表選手発表会見で明かしていた。「昨年だったら、先発はないと思っていた。上野の存在も大きいけど、藤田も成長してきた」。日本を長く引っ張ってきたエースに、発破をかけたように聞こえた。

 豪州戦の前日、宇津木監督は「一晩考えさせてください」と、先発投手を明かさなかった。「コーチと話し合って、試合の日の朝に決める」。ソフトボールが五輪で3大会ぶりに復活した今回、満場一致でエースがマウンドに上がった。

 一回は制球が乱れた。1死一塁から、3者連続の四死球。押し出しで1点を先行され、天を仰いだ。だが直後に味方が追いついてくれると、本来の落ち着きを取り戻した。三回はアウトのすべてが三振。五回途中1失点で、後藤に後を託した。

 上野を取材していて、印象的な言葉がある。

 「ゴールに向かう道は、私にとって一本道ではないんです。自分のコンディションとか、投球に対する考え方とか、寄り道がある。でも前に進むことには、変わらない」

 キャリアの中では、五輪実施競技からの除外、ライナーが左あごに直撃しての骨折など、苦しい思いをたくさん味わった。だが、その都度たくましさを増して戻ってきた上野が、地元開催の五輪で初白星を呼び込んだ。井上翔太