国立競技場、黄昏の時代の象徴 ザハ案撤回で「身の丈」

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構成 編集委員・大西若人
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 東京五輪が23日開幕する。開会式の舞台となる国立競技場は、今回の五輪のメインスタジアムとして建設された。国際デザイン競技から、当初デザインの白紙撤回、再コンペ、そして1年延期の末の無観客開催と揺れ動いた。競技場の動きを追ってきた建築批評家の五十嵐太郎・東北大教授(54)に、今どう見えるのか聞いた。

 しばしば指摘されることですが、国立競技場を上空から見ると数字の「0」に見えます。無観客開催となり、熱狂なき五輪のまさに空虚なシンボルになってしまったと感じます。

 2013年、五輪招致が決まる際、当時の安倍晋三首相はIOC総会で福島第一原発汚染水に関し「アンダーコントロール」と発言しました。ちょうどそのとき、僕が芸術監督を務めていた「あいちトリエンナーレ」では「福島を忘れない」と訴えていたので、驚いたことを覚えています。

 その招致にはデザイン競技で選ばれたザハ・ハディドさんの流動的でダイナミックな案が貢献したとも聞きましたが、15年夏には安倍首相が、直接的には建設費の高さを理由に白紙撤回しました。

 日本では、ああいうアイコン的に際立つ建築はあまり好まれていないというのは事実だと思いますが、あれだけ強権を発動した政権なのだから、ザハ案を守ることはできたはずです。あのデザインは、海外から見た東京のイメージを刷新することもできたと思う。

 ザハ案の時と同様、今の日本…

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