新監督はまさかの叔父さん 九回に出た最後の指示は

山崎琢也
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(20日、高校野球静岡大会 浜松北1-7富士市立)

 九回表、浜松北は富士市立を相手に6点ビハインドの苦しい展開。2死一塁の場面で6番打者の佐藤敢太君が打席に立った。攻撃が始まる前、夏目政臣監督から「最後まであきらめるな」とはっぱをかけられていた。

 3球目、外角の直球を打ち返すと打球は右翼手の前で弾んだ。やっと出た安打への喜びと、「ここからやっていくぞ」との強い気持ちから、一塁上で自然とガッツポーズが出た。

 今年の4月に赴任してきた夏目監督は叔父。スマホで人事情報を見て赴任を知った時は、思わず声が出た。「えっ、叔父さんやん!」

 子どもの頃は、野球を教わり、キャッチボールをしたこともあったが、その後は、顔を合わせてもあいさつをする程度。「いきなり監督と選手の関係になって大丈夫か」。不安もあったが、取り越し苦労だった。

 練習を重ねるうち、自然と監督と選手になっていった。大会前、チームがまとまらずにいらだっていた時、「ここまで来たらもうやるしかないんだぞ」と声をかけられた。どこか大会に向かっていく気持ちになれずにいたが、「あの一言で変わった」。

 叔父と戦った夏は3回戦で終わった。「最後まであきらめるな」。最後の指示は、ちゃんと実践できた。

 「1勝できたし、全力でやりきれた。このチームで戦えてよかった」。試合後の表情は晴れやかだった。(山崎琢也)