「五輪はやるのに…」相次ぐ修学旅行の延期 現場の苦悩

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三島あずさ、阿部朋美、塩入彩、高浜行人
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 子どもたちの健康を守りつつ、どうすれば貴重な実体験や思い出づくりができるか。新型コロナウイルスの感染拡大で東京と沖縄に緊急事態宣言、神奈川や大阪など4府県にまん延防止等重点措置が出ているなか、各地の学校が宿泊行事をめぐる対応に頭を悩ませている。東京五輪が開催されるなか、コロナ禍2年目の修学旅行の行方は――。(三島あずさ、阿部朋美、塩入彩、高浜行人)

緊急事態の東京 宿泊行事の延期相次ぐ

 「やっぱりな……」

 東京都に4度目の緊急事態宣言が出されることが決まった翌日の今月9日。東京都渋谷区の区立猿楽小学校では、夏休み中に予定していた5、6年生の宿泊行事の延期が児童らに伝えられた。宮田俊明校長によると、区の方針として、緊急事態宣言が出れば延期や中止となることが決まっていたため、「子どもたちは覚悟していた様子だった」という。

 宣言が解除されれば新たな日程を組むことになるが、感染や宿の空き状況にもよるため、実際に行けるかどうかは見通せない。6年生は、昨年もコロナで宿泊行事が中止となった。宮田校長は「たとえ日帰りでも、小学校生活最後の思い出となるような行事を計画したい。早く感染が収まり、子どもたちの生活にかけられているさまざまな制限がなくなることを願うのみだ」と話す。

 渋谷区教委によると、18ある全ての区立小で夏休み中の宿泊行事が予定されていたが、宣言の発出で延期に。8校ある区立中学の修学旅行も、今年度はまだ1校も実施できていないという。担当者は「コロナで運動会を秋に延期した学校もあり、すべての学校が秋以降に宿泊行事を実施できるかどうかわからない」と話す。キャンセル料も、1度目の延期は区の補助金でまかなわれるが、再延期となった場合の負担については未定という。

 板橋区の区立中では、9月半ばに3年生が奈良・京都へ行く予定だ。8月26日以降はキャンセル料が発生するといい、校長は「8月22日まで、とされている宣言期間はギリギリのライン」と気をもむ。宣言期間が延期となれば、受験が終わるまで実施は難しい。時期や行き先を変更することになれば、新幹線の団体割引が使えないなど、費用面も気がかりだ。

 「いまの3年生は、去年も鎌倉での校外学習に行けず、区内探索に替わった。修学旅行は何とか行かせてあげたいのですが……」

感染多くない地方にも影響

 影響は、現在は宣言や重点措置が出ていない地域の学校にも及んでいる。

 香川県立高松桜井高校(高松市)の2年生は、6月下旬に北海道へ行く予定だった。実施の可否を判断する5月、北海道は緊急事態宣言が出ており、やむなく断念。秋以降に延期した。

 昨年から、修学旅行はコロナに振り回され続けた。同校は独自の基準を作成。行き先の感染状況が、政府が示したステージ4までの感染状況のうち2以下であることや、生徒の8割以上が参加を希望することなどを盛り込んだ。昨年はこの基準に照らし、2回延期になった末に、中止となった。

 「何か思い出に残る行事をしたい」。修学旅行に行けなかった3年生たちは、今年6月に日帰りで近隣県に2回出かけたが、感染対策の難しさなどから宿泊行事はかなわなかった。

 2年生が、延期した秋以降に行けるかどうかは、キャンセル料の都合上、2カ月ほど前に判断することになる。笠井幸博教頭は「いろいろな行事が中止になった世代。なんとか思い出をつくれたら」と話す。

学校にいながら体験 「バーチャル修学旅行」

 中止や延期が相次ぐ中で広がっているのが、学校にいながら「旅先」の映像を見て観光や学習をする「バーチャル修学旅行」だ。

 6月17日午後。東京都江東…

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