円谷英二、月に帰らず天女も下りず(小原篤のアニマゲ丼)

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円谷英二さん (C)円谷プロ
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 「円谷英二の『かぐや姫』が見つかった」と聞いた時は興奮しました。「かぐや姫(竹取物語)」は、日本民間航空の開拓者たちを描く「日本ヒコーキ野郎」と並んで「特撮の神様」円谷英二さん(1901~70)が晩年まで映像化を切望していた企画で、その野望の始まりは若き日に映画「かぐや姫」(1935年、75分、田中喜次監督)の撮影を担当したことにあったのだろうと思われるから。フィルムが失われ長く幻となっていたその作品が、英国で見つかったというのです。

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1935年の映画「かぐや姫」(国立映画アーカイブ所蔵)。封切り以後上映記録がなく、フィルムが失われていた

 アニメ史的にも大きな発見と期待できます。ミニチュア制作とコマ撮りアニメを「日本アニメの父」と称される政岡憲三さん(1898~1988)が担当し、しかも円谷さんの弟子うしおそうじさん(1921~2004)による「夢は大空を駆けめぐる~恩師・円谷英二伝」(角川書店)には、こうあります。「円谷英二は(中略)政岡憲三と組んで、平安京のミニチュアワークを牛車が姫を乗せて、大路から朱塗り門へ到達するシーンを共同演出した。パペットアニメ(コマ撮り立体人形撮影)を体験した円谷英二が、その時の話をボクにする時、英二は必ず能弁になった」

 「特撮の神様」と「日本アニメの父」の共演です。何とぜいたくな。7月7日、その発見の経緯を国立映画アーカイブ(東京・京橋)が詳しく説明する会見に取材に行くと、何とイベント形式で映画上映もあるとのこと。しかし残念ながら今回見つかったのは英での上映会用に作られた33分の短縮版でした。

 結論から言うと、アニメパー…

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