田部井淳子さんの遺志継いで 東北の高校生が挑む富士山

斎藤健一郎
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 女性として初のエベレスト登頂に成功した故・田部井淳子さんが始めた「東北の高校生の富士登山」(一般社団法人田部井淳子基金主催、朝日新聞社など後援)が27~29日、2年ぶりに開催される。田部井さんの遺志を継ぎ、今年は15人の高校生が頂を目指す。

 福島県三春町出身の田部井さんが晩年、力を入れたのがこのプロジェクトだった。「日本一の山を登ることで自信をつけ、東日本大震災からの復興の力になってほしい」と企画し、子どもに負担をさせないようにと協賛金を集め、震災翌年から毎年のように高校生と富士山に登った。

 がんが進行し、立つことも厳しい状況になった2016年7月も、病院から富士山へ向かって標高3千メートルまで登り、「一歩一歩足を進めれば、必ず頂に立てるんだよ」と高校生を励ました。その年の10月に死去。生涯最後の登山になった。

 「千人の高校生を登らせたい」という田部井さんの思いを長男の進也さん(42)が継ぎ、一流の登山家や医師などが高校生をサポート。全国の一般の人たちや企業からの支援に支えられ、毎夏開催してきた。これまで679人が参加した。

 しかし、昨年は新型コロナの影響で開催できなかった。前回は100人超の高校生が登ったが、今年は移動のバスや山小屋での密集を避けるため、高校生の参加は15人になった。スタッフも含めて全員にPCR検査を実施、感染対策を徹底することで開催にこぎ着けた。進也さんは「震災から10年がたち支援も減りました。厳しい状況ですが、高校生のため、復興のため、母の言葉通り一歩一歩、前に進みます」と話す。

 今回は仙台市福島県郡山市の高校の生徒たちが参加する。28日の登頂を目指し、天候が悪い場合は29日に再びアタックする。

 田部井淳子基金(03・3264・6426)では随時、協賛・寄付金を募っている。詳細は基金のウェブサイト(https://junko-tabei.jp/別ウインドウで開きます)で。斎藤健一郎