「まさか私が…」 1年延期で東京五輪に届いた選手たち

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加藤秀彬 渡辺芳枝 辻隆徳
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 まさか、私が五輪選手になるなんて――。東京オリンピック(五輪)が1年延期されたからこそ、切符をつかんだ選手たちがいる。陸上のデーデー・ブルーノ、ゴルフの稲見萌寧(もね)、トライアスロンのニナー賢治。圏外から大逆転。3人の激動の1年を振り返る。

デーデー・ブルーノ(陸上男子)

 誰もが目を疑った。

 東京五輪の代表選考会となった6月の陸上日本選手権男子100メートル決勝。出場した自己ベスト9秒台のスプリンター4人を抑えて2位に入ったのは、陸上を始めてわずか5年の大学4年生デーデー・ブルーノ(21)=東海大=だった。「目標だったけど実力的に厳しくて、遠い存在」と語っていた東京五輪に、400メートルリレーの代表として滑り込んだ。

 ナイジェリア出身の父と日本出身の母を持つ。長野・創造学園高(現・松本国際高)では1年生までサッカー部の左サイドバックだった。「技術面に限界を感じた」と2年生で陸上に転向。周囲に比べて遅いスタートだが、3年生の高校総体で5位に入賞し、すぐに頭角を現した。

 進学した東海大では、男子400メートル日本記録保持者の高野進さんらの指導を受ける。昨年までに自己記録を10秒2台まで引き上げた。

 五輪が1年延期となっても、「(代表選手になる)準備はしきれていなかった」。挑戦者として臨んだ日本選手権では、力みから失速する他選手を後半で追い上げた。決勝の最高速度は出場選手中トップの毎秒11・38メートル。決勝ではそれまでの自己記録を0秒01更新する10秒19をマークし、ただ一人自己ベストを出した。

 代表入りは果たしたものの、リレーメンバーには世界大会の経験がある選手が多く、起用される保証はない。ただ、日本代表の土江寛裕コーチは「伸び盛りの選手。直線区間で良い走りができるんじゃないか」と期待を寄せる。東海大でも代表と同じアンダーハンドパスを採用しており、不安はないという。

 陸上を始めた5年前の五輪で、日本男子は400メートルリレーで銀メダルを獲得した。「ああいう選手になりたいと、ずっと考えていた。試合で緊張しないタイプなので、普段通りやっていきます」。初の五輪も、無欲で挑む。加藤秀彬

稲見萌寧(ゴルフ女子)

 「実は、皆さんをだましていました」

 ゴルフ女子の日本代表に決まった後の記者会見で、稲見萌寧(もね)(21)はバツが悪そうに切り出した。五輪は意識していないと公言してきたが、「実はめっちゃくちゃ出たかった。だからこそ自分を装ってでも、目の前の試合に集中しようと言い聞かせていた。やっと本音を言えました」。

 もともと代表が決まるはずだ…

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