「やっと、つかんだ」 照ノ富士、3度目の昇進伝達式

鈴木健輔
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 日本相撲協会は21日、照ノ富士(29)の73代横綱昇進を承認した。モンゴルから来日して11年余。大器が、一度は諦めかけた最高位にたどり着いた。

 昇進伝達式を3度経験した。大関で2度、そして横綱になったこの日。「本当に、いろんなことがありました。やっと、つかんだ」。照ノ富士はかみしめるように言った。

 けがと病気で落ちた序二段から上位に戻り、よく口にする。「信じてやってきてよかった」

 なにも信じられなかった時期がある。番付が急降下していた2018年、荒れていた。「休めば良くなるってみんな言うけど、良くならないじゃん」「もうおしまい」。治療に励んでも、稽古をしても、休んでも、力が戻らない。「かっこわるいこと、大嫌い」が信条。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に、引退を何度も直訴した。

 類いまれなスピード出世で、平成生まれの力士で初めて大関になったのが23歳だった6年前だ。何歳で横綱になり、何度優勝し、何歳で引退するか。そんな土俵人生の設計図を描いていた。「言うとかっこわるい」と明かさなかったが、強いまま、やめるつもりだった。

 それが、かつて自分の付け人だった力士より下の番付に落ちても土俵に上がった。関取だけが結える大銀杏(おおいちょう)を失い、両ひざに大きなサポーターを施して。

 「目指しているのはあくまで一番上の地位。入門当時から、落ちた時も、心の奥で思っていました」。同じ一門の横綱照国と、師匠の旭富士を合わせたしこ名で、令和で初めて、角界の頂に立った。(鈴木健輔)