分岐点と開放点、ことばの道筋を見つめる 荒川洋治さん

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 現代詩作家の荒川洋治さんは、おびただしい数の言葉が生まれては消え、漂流していく日常を、日本社会の底流と照らしながら考え続けてきた。災害、コロナ禍、東京五輪など大きな出来事が相次ぐ中で見えてきたものを、寄稿してもらった。

 シュトルムの小説「みずうみ」は一九世紀、ドイツで書かれた。遠い話だと思う人と、興味を感じる人がいる。二つに分かれる。これを、分岐点と呼びたい。

 仲よしの少年と少女。二人は別れ、歳月を経て再会、そしてまた別れる(同じ経験をもつ人、まるで無縁の人がいるので、また分岐点)。実はこの小説は、老いた男性の回想なのだ。悲しい思い出をもちながらも、しっかりと生きているのだ。よかった、と思う。心が静まり、安らぐ。それが「みずうみ」の開放点となる。

 昭和初期の名作、松永延造「…

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