不登校特例高校を来春計画 岐阜・揖斐川の西濃学園

高木文子
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 不登校を経験した生徒らが学ぶ特例校「西濃学園高校」の設立を学校法人・西濃学園(岐阜県揖斐川町)が計画している。1学年の定員は25人。町内の旧小学校舎を利用し、来年4月の開校をめざす。文部科学省によると、開校すれば高校の不登校特例校としては東海3県で初となる。

 県私立学校審議会で21日、設置計画の事前審査があり、北浦茂・学園長(73)が「卒業後に自活できる生徒を育てたい」などと説明。審議会は「計画は妥当」と古田肇知事に回答した。今後、学園が学校設置の認可を県に申請し、審議会に諮られる見通し。

 全日制普通科で登校が基本だが、文科相から不登校特例校の指定を受けることで、登校できなくなった場合も必修の単位を通信制に切り替えて履修できる。

 西濃学園は、不登校の子を支援するボランティア団体が前身。町や地元財界などから支援を受け、2009年に西濃学園中学校を開校した。山あいの町内で多くの生徒が寮生活をしながら学び、中学校は不登校特例校に指定されている。

 高校生向けにも、廃校となった旧久瀬小の校舎を利用し、西濃学園久瀬校を開校している。北海道の広域通信制高校と提携し、県教育委員会から技能教育施設の指定を受けることで、商業科目などを学びながら高校卒業資格が得られる。新しい高校も同じ校舎を使い、久瀬校の生徒を受け入れる意向という。

 久瀬校は現在1~3年生の25人が在籍。関東など全国から生徒が集まる。校内の雰囲気について、1年の男子生徒は「上下関係があまりなく(教職員も)友だちみたいでフレンドリー」と話す。制服はなく、教員を「先生」ではなく「さん」付けで呼ぶ生徒も多い。別の1年の男子生徒は「ここに集まる生徒は『心の痛み』を経験しているから、周りに優しくできる」と話す。

 久瀬校と中学校の生徒たちは例年、地域の運動会や文化祭に参加。地域の人も学校の草取りをして、生徒がコンクールなどに出場することが決まれば、お祝いの赤飯を炊いて届けてくれる。

 北浦学園長は「駅前に学校を設ければもっと生徒が集まるのかもしれないが、地域の共同体が残る場所で人間関係を学んでほしい」と願う。「卒業後も、第二のふるさとになるような高校をつくりたい」

 県教委によると、県内では19年度に不登校になっていた中学生が2115人、高校生は647人。今年4月には東海3県で初めてとなる公立の不登校特例校として、岐阜市立草潤中学校が開校した。(高木文子)

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