魚雷、水の怪物に続く新スター タトゥーに隠れた繊細さ

競泳

木村健一
[PR]

競泳男子 ケーレブ・ドレセル(アメリカ)

 筋肉のよろいをまとった身長190センチの体で、花形種目の自由形とバタフライで頂点に立ってきた。ケーレブ・ドレセルは「魚雷」の異名をとったイアン・ソープ(豪)、「水の怪物」と称されたマイケル・フェルプス(米)に続く24歳のスターだ。

 米フロリダ州の水泳一家に生まれ育ち、サッカーや陸上もこなした。19歳で迎えた2016年リオデジャネイロ五輪では男子400メートルリレーの第1泳者を務め、引退するフェルプスにつないだ。リレーで2個の金メダルをつかみ、翌年の世界選手権は50メートル、100メートルの自由形、100メートルバタフライで個人3冠。リレーを含め、フェルプスと並ぶ史上最多の金メダル7個を手にした。

 左腕に広がる荒々しいタトゥーとは対照的に、細やかで優しい心を持つ。

 19年の世界選手権では100メートルバタフライ準決勝でフェルプスの世界記録を破り、個人4冠。リレーを含む計6個の金メダルを獲得して、こうこぼした。「すごく、きつい1週間だった。ストレスでニキビができ、髪も抜けた」

 牛が描かれた青と黒のバンダナをいつも持ち歩く。競泳から一時離れた高校時代。授業もさぼった。数学の女性教師がいる教室は「僕の避難場所だった」。安らぎをくれた恩師は乳がんを患い、17年に亡くなった。闘病の間、彼女が身につけていたバンダナを、夫から授かった。「僕には形のあるものが必要だった」

 右腕には、オリンピックマークのタトゥーが彫り込まれている。強い思いで臨む東京五輪。08年北京大会で8個の金メダルを獲得したフェルプスとも比べられる。

 開幕を前にAP通信にこう語った。「僕はフェルプスとは違う大会で泳ぐ。人の目標は追わない。自分を追いかけたい」木村健一