岩渕真奈、大舞台で成熟の同点ゴール なでしこ救った背番号「10」

サッカー

勝見壮史
[PR]

(21日、女子サッカー 日本1-1カナダ)

 数々の先輩たちが、なでしこの窮地を救ってきた。澤穂希宮間あや――。その背中を追いかけるように背番号10をまとったFW岩渕真奈がみせた。

 1点を追う後半39分、ロングパスに合わせ、相手DFの後方へ抜け出した。それまで足元でパスを受けるプレーを続けたことで、「相手が食いつくのが見えた」。背後への警戒が緩んだ隙を逃さず、得意の右足でシュートを沈めた。スタッフの分析にも感謝した。「ゴールしたのは自分だけど、全員の気持ちが乗ったゴールだった」

 18歳でワールドカップ(W杯)初優勝。ロンドン五輪での銀メダル、15年W杯準優勝も経験し、なでしこジャパンの黄金期を知る一人だ。でも、先輩たちの陰に隠れる存在だった。

 世代が変わり、エースとして期待されて臨んだリオデジャネイロ五輪はアジア最終予選で敗退した。

 いま、28歳。周囲を引きつける強烈な個性は持ち合わせない。だからこそ、仲間とともに進む新しいリーダー像を模索してきた。

 この試合の後半、PKを獲得したFW田中美南には意見を聞いた上でキッカーを譲った。田中は絶好機を逃したが、試合後の会見で「取り上げてほしくない」と気遣った。何より、自らの一蹴りで帳消しにした。

 かつて世界の頂点に立った日本も、いまでは世界ランキング10位。そんな流れにあらがうように、岩渕はいう。「いろんな人から受け継いだなでしこの歴史を意識して、背負って、自分らしくいい大会にしたい」。覚悟を決め、一歩を踏み出した。(勝見壮史)