オンライン就活の「珍ルール」 退出はいちばん最後に?

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井上昇
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 新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、就職活動では「オンライン面接」が定着しました。それに伴い、学生たちの間で新たな「珍ルール」も広がっています。内定を得やすくなるならと従う人も多い一方、細かすぎたり矛盾したりするルールには戸惑いの声もあがっています。

 都内の私立大学に通う女子学生(21)は6月、オンライン面接の30分前にパソコンを立ち上げた。オンライン会議システム「Zoom」の「設定」画面で、自身が相手にどう映るかの事前の確認は欠かせない。

 背景に家具などが映らないよう、本棚を部屋の隅に動かした。さらに、カメラの向きや照明器具の位置を調整。画面を何度ものぞき、ベストな状態になっていると確認した。こうした準備は「多くの友達がしていて、自分もやるのが当たり前だと思っている」。

 コロナ禍で、面接の形式が大きく変わった。昨年の就活(2021年卒)で始まったオンライン面接が、今年(22年卒)は定着してきた。政府が要請する就活ルールでは6月に採用面接が解禁。複数回の面接を全てオンラインで実施して内定を出した企業も多い。

 「明るい印象を与えるために、自分に強い照明を当てた方が良い」「受け答えに詰まらないようカンペを用意する」「画面の枠におさまるジェスチャーを心がける」――。オンライン面接をうけるにあたって面接担当者に良い印象を与えようと、こうしたことを心がける就活生は少なくない。

 一方で学生たちが戸惑う「珍ルール」もある。

 就活を終えた都内の女子学生(22)は、就活中にこんな経験をした。

 面接担当者1人に対して学生3人が臨んだオンラインの「集団面接」でのこと。面接が終了し担当者が画面からの「退出」を促したが、学生は数分間、誰も出ていかなかったという。

 なぜそうなったのか。女子学…

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2021年7月26日9時4分 投稿
    【視点】

    井上昇記者が就活生の頃「朝日が昇る、井上昇です!部数アップに向けて御社で頑張ります!」と面接で自己PRしていたという黒歴史を披露したらより記事の説得力が増したと思うが、それは冗談として、就活の問題を可視化している。 とはいえ、真っ赤に

    …続きを読む
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    岡本峰子
    (朝日新聞仙台総局長=多様性と社会)
    2021年7月25日21時42分 投稿
    【視点】

    人事部で採用を担当していたこともある立場からみて、明文化されていない「就活マナー」に縛られている就活生を本当に気の毒に思います。場の雰囲気を読みにくいオンライン面接ではなおさら不安が募ることでしょう。 でもシンプルに考えて欲しい。バー

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