東京五輪・パラリンピック期間中、東京都内の会場外で起きる様々な事故やトラブルに対応する、都市オペレーションセンター(COC)の医療統括に、杏林大学の山口芳裕教授(救急医学)が就任した。災害医療の豊富な経験と、新型コロナウイルス対応で都内の入院調整に奔走した実績を買われた。五輪の開会式を目前に控え、山口さんに、東京の医療を担う覚悟を聞いた。
やまぐち・よしひろ 東京生まれ、1986年香川医科大学卒業。信州大学、米ハーバード大マサチューセッツ総合病院研究員などを経て、2006年杏林大学医学部教授。99年、茨城県東海村で起きたJCO臨界事故の作業員を治療し、2011年の東京電力福島第一原発事故では東京消防庁の収束作業を支援した。
――医療統括とは何をするのですか。
五輪・パラリンピックの会場外で起こるあらゆる事故や災害、テロ、トラブルの医療対応です。
当初、会場に入る前や出た後の群衆事故やパブリックビューイングの観客がいるところでの熱中症患者発生など、あらゆる場面を想定していました。
無観客で医療需要は激減したと思いますが、その分、新型コロナ患者への対応も重要な任務になりそうです。
「医者は診ると高をくくる政府。そこが悔しい」
――これまで都内の新型コロナの入院調整の仕事をやってきて、五輪・パラリンピック開催の是非について思うところはありましたか。
医療者としては開催は無理だろうと思ってきました。
でも国がやると決めたら、反対でも賛成でも、傷病者を診るのは医師の仕事なんです。
医者って「おばか」ですからね、目の前に患者が来れば、イデオロギーをどかして、診ざるを得ない。
政府は、そこのところを見透…

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