呪われた美の世界を覗いてみたら 妖艶と残虐の日本美術

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西田理人
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 死の気配漂う血みどろの兵士に、妖気に満ちた宿命の女(ファム・ファタル)――。そこは残虐と怪奇、神秘と官能が渦巻く、あやしい美の世界。恐る恐るのぞきこめば、あらがいがたい危険な魅惑に思わず身震いが。酷暑極まる列島のひととき、背筋も凍る真夏の白日夢に浸ってみてはいかが。

 「退廃」「妖艶(ようえん)」「グロテスク」。大阪歴史博物館大阪市中央区)で開催中の「あやしい絵展」は、そんな言葉で彩られる日本美術の多様な作品群を、一堂に集めた特別展。会場には、江戸末期から昭和初期までの日本画や版画、書籍の挿絵など、前後期合わせて約150件が並ぶ。

血のしたたる凄惨な浮世絵

 血まみれの顔に真っ青な唇。うつろな瞳に映るのは、間近に迫った死の影か。「無惨絵(むざんえ)」で知られる月岡芳年の「魁題百撰相(かいだいひゃくせんそう)」は、戊辰戦争で死傷した兵士たちを、歴史上の人物と称して描いた浮世絵連作。時事描写を禁じる当時の制約をかいくぐり、戦地での遺体の写生などをもとに、戦に臨んだ人々のリアルな姿を世に問うた。

 血のしたたる凄惨(せいさん…

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