1.5度達成の最後のチャンス COP26議長が寄稿

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 10月31日に始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)まで約3カ月となった。人類の命運を左右する2030年の世界の温室効果ガス削減目標が決められる予定だ。コロナ禍によってCOPが1年延期された間に、多くの国は目標を引き上げたが、気候の危機は増している。会議に向け、アロック・シャルマCOP26議長が朝日新聞に寄稿した。

 英国グラスゴーで開催されるCOP26は、世界各国が一同に集い、気候変動への対策を加速するための正念場となる。

 15年、各国は気候変動の国際的枠組み、パリ協定に署名し、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前と比べ2度より十分低く、1・5度に抑える努力をすると約束した。これは、気候変動による最悪の影響を回避できると科学的に示された目標である。

 しかし、世界の取り組みはまだ不十分で、国際環境シンクタンクの推計によれば、各国が排出削減目標を達成しても平均気温は2・4度上昇するという。わずかな温度差と感じるだろうが、結果は大きく違う。

 世界全体の平均気温が2度上昇した場合、1・5度上昇した場合と比べて、影響を被る人は何億人も増え、生息地が半減する植物や昆虫の種の数はそれぞれ2倍、3倍にも及ぶ。COP26議長に就任した私は、役割を通じ、その影響を直接目の当たりにしてきた。

 解けゆく氷河、作物収穫量の減少、居住地を失う人々……。このままでは影響はさらに悪化、そして勢いを増すだろう。だからこそCOP26が1・5度目標達成に取り組む機会として重要な意義を持つ。

 私は四つの目標を軸とした行動を強く呼びかけている。それは①世界を今世紀中ごろまでの排出実質ゼロを達成する軌道に乗せる②自然の保護③これらを達成するための資金調達④官民一体となる国際協力だ。

 今世紀中ごろの世界の実質ゼロを達成するためには、30年の削減目標と実質ゼロ目標の整合性が取れている必要があり、国ごとに科学的根拠に基づいた目標を確立することが必要だ。

 日本が50年のカーボンニュートラルを宣言し、30年の削減目標を13年度比で46%、そして50%の高みに向けて挑戦すると発表したことに、非常に勇気づけられている。

 1・5度目標を目指すのであれば、COP26で二酸化炭素(CO2)の最大の排出源である石炭火力発電に終止符を打ち、クリーンなエネルギーへの移行を促進していくべきだ。主要7カ国(G7)の共同声明では、排出抑制対策のない海外の石炭火力発電に対し、今年末までに政府の新たな支援を停止することが合意された。この表明は、脱石炭を加速させる上で大きな一歩だ。

 COP26まで約3カ月。1・5度目標達成の成否がかかった最後の望みである。私は四つの目標に向けた一層の努力をすべての国に呼びかけたい。この機を逃せば、もう二度と機会は訪れない。このチャンスを我々全員でつかもう。

 〈視点〉米西部が50度を超…

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