病気に負けず技術磨き続けた 最後の試合、代打でヒット

原田達矢
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(21日、高校野球京都大会 西城陽8-7京都共栄)

 七回裏2死二塁。京都共栄は、代打の坂本紫温(しおん)君が静かに打席へ向かった。「絶対に打てる。この時のためにやってきたんだ」と心のなかで何度もつぶやいて自分を奮い立たせた。そして3球目。変化球を左翼前にうまく落とした。渾身の打撃だった。

 簡単な高校生活ではなかった。体が大きくなりにくいシルバー・ラッセル症候群のため、昨年12月まで毎日成長ホルモンの注射を続けていた。大きくない体でもチームに貢献できる方法として、バントの練習や、ファウルで粘って反対方向の打球を狙うなど小技を周りよりも時間をかけて磨いてきた。

 昨秋府大会の1次戦では、一打同点の好機に三振し、連合チームに敗れた。その悔しさから、さらに練習を重ねた。そして、弱気にならないと心に決めた。

 この日の試合に負け、悔しい気持ちはある。だが坂本君は「あの打席で秋のリベンジができてよかった。自分に打ち勝てた」と、涙はなかった。(原田達矢)