被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ

北京=高田正幸
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 中国河南省の豪雨による水害で、省政府は22日、計33人が死亡、8人が行方不明になっていると発表した。被災者は約300万人にのぼるという。中国のネット上では、地元当局やメディアの注意喚起や情報公開の遅れが被害を拡大させたとする批判が出始めている。

 20日夜に浸水した地下鉄で逃げ遅れた12人が死亡した鄭州市。気象台が前日には最高レベルの警報を出していたのにもかかわらず、市政府が出勤停止など具体的な注意喚起をしなかったことに、SNSで疑問の声が出た。

 市内の地下鉄に雨水が流れ込み始めたのは20日午後6時ごろで、被災した乗客には帰宅を急ぐ人びとも。地下鉄の運転停止の判断の遅れを指摘する意見も書き込まれた。さらに、市内のダムが20日午前には放水を始めていたのに、翌日未明になってようやく市がSNSで公表したことにも「情報隠しだ」という声が上がっている。

 メディアも問われた。被害が出ていた20日夜、省政府系の地元テレビ局は「抗日ドラマ」を放送を続けていた。これに対し、「少しでも人間性があるなら、災害対策情報を放送すべきだ」などと投稿された。

 共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は17日、すでに100人超が犠牲になっていたドイツの洪水について「西側諸国の統治レベルに対する信頼感が揺らぐ」などとSNSに投稿。一方、河南省の水害に対しては「極端な天気で水害は避けようがない」と当局をかばうような発信をした。

 こうした発言に「憎まれ口をはやめろ」などと批判が殺到。胡氏は21日、「犠牲が避けられるはずだったという疑問は理解できる」とSNSで弁解した。(北京=高田正幸)