海岸ゴミ集め15年 ホンダ「ワイガヤ」が生んだ乗り物

会員記事

神沢和敬
[PR]

 素足で歩ける砂浜を次世代に――。そんな思いから生まれた「ビーチクリーナー」を使い、ホンダが海岸清掃を15年間続けている。砂浜でバギーカーの走行実験をくり返すなか、ゴミの多さに気づいたのが、開発のきっかけ。技術者らが活発に議論する「ワイガヤ」などの企業文化が生きた、と開発責任者は振り返る。

 ビーチクリーナーは、ごみを集める器具や、牽引(けんいん)するバギー形の乗り物などのこと。2006年から使い始め、これまでに400回近い活動で490トンのゴミを回収した。販売はせずに、自社の環境保護活動で使っている。

 開発に取り組み始めたのは99年から。当時は「ATV(All-Terrain Vehicle)」という全地形対応車の市場性を探り、各地の砂浜で走行実験を続けていた。その過程で砂浜を覆うゴミの多さに気づき、試作部門も巻き込んで開発が動き出した。

 苦労したのがゴミを集める器具の開発・改良だ。

 砂の中からゴミをかき出すかごのような試作機は当初、砂の抵抗が大きくて1メートルも動かせなかった。そこで、農機具にヒントを得て生まれたのが、熊手のように空き缶などを引っかける「サンドレーキ」。ゴミを集めつつ引っ張れるように改良できたが、今度は砂の下に埋もれたゴミが表面に出て、ゴミが増えたように見える悩みも生まれた。

 こうした課題の解決に役だったのは、「ホンダの開発文化だった」と責任者の井上雅洋さんは振り返る。技術者が分け隔てなく意見を出し合う「ワイガヤ」という議論のあり方や、現場・現物・現実を重視する「三現主義」などの姿勢が改良に生きたという。

 井上さんは今後について「子…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。