春準優勝の桐光学園、慶応に敗れる 叫び続けたエース

黒田陸離
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(22日 高校野球神奈川大会 慶応8-3桐光学園)

 1点差で迎えた六回表、桐光学園のエース中嶋太一投手(3年)がマウンドへ。「ここから攻めていく」。1安打を許したが、2死二塁のピンチで遊ゴロに仕留めると、小さく拳を握ってベンチへ戻った。

 中学のシニアで日本一に輝いたが、そこからケガが重なり、高校2年の秋までは思うように投げられなかった。だが、「自分より遠投できる人は見たことがない」。地肩の強さを生かし、最速148キロを投げるまでに成長した。「自分を盛り上げると球も走る」と誰よりも大きな声でチームを盛り上げ、春の県大会では準優勝、関東大会では4強に導いた。「このチームなら甲子園優勝も狙える」。自信を深めていた。

 しかし、その自信が鳴りを潜めた。七回表1死から、ストレートの四球を出すと「ストライクを入れに行かないと」と焦りが出た。中前安打、左飛の後、再び四球を与え、針谷隼和投手(2年)にマウンドを譲った。後輩も流れを止められなかった。

 点差が開いてもベンチの一番前で声を上げ続けた。打席へ向かう打者には「ここからだぞ!」。凡打に倒れた打者には「もう一回お前に回すぞ!」――自分をもう一度マウンドに立たせてほしい、そう仲間に託しながら声を枯らせた。

 最後の打者が併殺に倒れると、ベンチでうずくまった。抱え起こしてくれた仲間へ「チームメートが誇ってくれる存在になりたい」と卒業後の活躍を誓った。(黒田陸離)