「価値観しかない」元最高裁判事が見た夫婦同姓「合憲」

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聞き手・田中聡子
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 夫婦が同じ姓にしないと結婚できない今の制度について、最高裁大法廷は6月、2015年に続いて再び憲法に違反していない、と判断しました。2度目の合憲判断はなぜ出たのか。15年判決で「違憲」だとする少数意見を出した元最高裁判事の櫻井龍子さんに読み解いてもらいました。

                   

櫻井龍子・元最高裁判事

1947年生まれ。70年に旧労働省に入省し、育児休業法などを手がけた。九州大法学部客員教授などを経て、2008年9月、歴代3人目の女性の最高裁判事に。17年1月に退官。

 ――また、「合憲」でした。

今回は難しいと、わかっていた でもボールの投げ方は違う

 「違憲は難しいだろうという結論は、分かっていました。前回判断してからまだ5年ちょっと。一度出た判例を変更するのは、めったにあることじゃありません。私が判事として経験した判例変更による違憲判断では、最初の憲法判断からの期間が最も短いものが非嫡出(ちゃくしゅつ)子の相続分差別ですが、それでも18年かかっています。しかも、今回は15年に合憲と判断した裁判官が3人も残っていますから。前回の判断をなぞる形になると予想はしました」

 ――15年と同様に、また国会で議論せよとボールを投げました。

 「今回のポイントは、『ボールの投げ方』です。最高裁にあるのは『国会がつくった制度と法律が憲法に違反していないか』の審査権です。最も分かりやすいのは、選挙の定数をめぐる一票の格差訴訟です。最初は合憲が続きましたが、ある時から『違憲状態』という結論を出すようになりました。『国会が自分の裁量で決めることだけど、もうそろそろ見直さないと、違憲になりますよ』と国会に対して警告し、実際に違憲も出しました」

 「これを、ある最高裁長官が『キャッチボールをしているんだ』と言ったことが印象に残っています。国会にボールを投げて、返ってきたものが違反していないか審査して、またボールを返して――。今回の決定も、同じようにボールを投げたな、と思いました」

 ――ですが、15年判決でも…

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