香港、絵本発行で5人逮捕 「子供に反政府的な意識」

香港=奥寺淳
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 香港警察は22日、香港政府の対応を風刺して子供を扇動する絵本を発行したとして、発行団体の男女5人を刑事罪行条例違反の疑いで逮捕した。警察幹部は会見で「絵本が対象にする4~7歳は道徳心を養う重要な年齢で、政府に批判的な意識が植え付けられる」と摘発理由を語った。

 逮捕されたのは、言語障害などがある子供に訓練や指導を行う「香港言語治療師総工会」の主席や副主席ら25~28歳の男女。同会は民主派支持を鮮明にしており、政府を風刺する絵本などの読書会を開いていた。

 問題となった絵本は3冊。「羊村十二勇士」という絵本では、平和に暮らしていた羊の村の12匹が、悪役のオオカミの支配から村を守ろうと団結する。12匹はオオカミが羊を殺すことを決めたことを察知して船に乗って逃亡を図るが、動きを監視していたオオカミに海上で捕まって投獄されてしまう。村に残された羊たちが仲間の12匹を支援する内容だ。

 香港では昨年、香港国家安全維持法違反容疑などで逮捕・保釈され台湾に逃れようとした民主活動家ら12人が中国当局に逮捕された。絵本はこの事件を風刺したとみられる。

 警察の国家安全処の李桂華高級警視は会見で、絵本の設定について「羊が香港人で、オオカミが中国人であるのは明らかだ。政府への憎しみを子供の脳裏に植え付けている」と主張。絵本が対象にしていた4~7歳は子供が道徳観を身につける重要な時期だとし、「逃亡を企てた香港人12人は罪を犯したのに、子供に黒を白、白を黒と教えたら、反社会的で政府に反対する人間になる」と語った。(香港=奥寺淳