「あおむし」に込めた希望 最期まで絵筆握った91歳 

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マサチューセッツ州アムハースト=藤原学思
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絵本作家 「はらぺこあおむし」作者 エリック・カールさん

 うまれる。たべる、たべる、たべる。おなかがいたくなるときもある。そんなときは、体にいいものをたべよう。大きくなって、ねむって。そして、アオムシはきれいなチョウになる。

 32ページの「はらぺこあおむし」は1969年に出版された。当初の題は「イモムシウィリーの1週間」。チョウになる手前、サナギになるところで物語は終わっていた。描き直しを重ね、現在のものに落ち着いた後は、ページの幅が違い、穴も開いているユニークな作りに、製本が難航。日本の偕成社を通じ、日の目を見ることとなった。

 以来、70以上の言語に訳され、販売冊数は5500万部以上。世界で最も売れた絵本の一冊とされる。なぜ、これほどの人びとを魅了するのか。出版から半世紀後、本人は「わかるまでに長い時間がかかった」として、こう答えている。

 「これは、希望の本なのだと思います。この世界に苦しみながら、小さな小さな、取るに足らないアオムシが美しいチョウに変わり、羽ばたいていく。時に自らの小ささに弱さを覚えるこどもには、希望が必要なんです」

 米ニューヨーク生まれ。6歳から両親とドイツで過ごし、絵を学んだ。ナチス統制下で徴兵された父親は長らく家を空け、戻ってきた際に笑顔は失われていた。自らも15歳で塹壕(ざんごう)を掘る任務を与えられた。

 「私が助けているこどもは…

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