重量挙げ選手の足元には 硬い素材のヒール、前傾姿勢で重心が安定

ウエイトリフティング

松本龍三郎
写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
[PR]

 重量挙げは、床に置かれたバーベルを両手で握り、持ち上げるというシンプルな競技だ。

 持ち上げ方には2種類ある。床から頭上へ一気に持ち上げるのが「スナッチ」。いったん肩の高さまで引き上げてから、頭上へ上げる2段階の動きが「クリーン&ジャーク」だ。それぞれ3回ずつ試技を行い、挙げた最高重量の合計が成績となる。

 力を振り絞る表情や鍛え抜かれた腕、重そうなバーベル。見る側の視線はついつい上半身の方へ集中してしまうが、実は足元に、重量挙げに欠かせない道具がある。選手が履く靴だ。

 「ヒール」があるのが特徴で、選手の好みで多少異なるものの、つま先とかかとの高低差はおおむね2センチ。バーベルを振り上げた際にヒールを支えに重心を安定させられるほか、かかとが浮いて下半身がわずかに前傾するため、バーベルを持ち上げやすくなる。階級によってはバーベルの重量は200キロ超になる。「土台」となる靴の安定性は肝なのだ。

 ヒール部分は丈夫さを重視した硬い素材が使われており、一般的なスニーカーよりも重たい。国内メーカーではアシックス、海外ではナイキやリーボック、アディダスが主流だ。

 選手の足底の横幅や甲の高さ、腰や足首の柔軟性の違いによっても、靴の素材や形状は変わってくる。晴れ舞台となる東京国際フォーラムのステージに、各国選手がどんな靴で登場するのかにも注目したい。

 重量挙げの五輪での歴史は古く、原型となった競技が第1回の1896年アテネ大会で実施された。1920年アントワープ大会から体重別の階級制が採用され、76年モントリオール大会には現行の競技方法が整った。2000年シドニー大会からは女子も採用された。東京大会は、男子が61キロ級~109キロ超級、女子が49キロ級~87キロ超級の各7階級で争われる。

 試技を行う順番は、軽い重量に挑む選手から。試技の重量は選手側が申告し、規定時間内であれば変更できる。自分の調子やライバルの記録をにらみながら、「流れ」を読んだ重量選択ができるかどうかも、勝負を決するポイントになる。

 ただし、最初に行うスナッチで記録なしに終わると失格になるため、欲張りすぎる重量設定は禁物。高い目標を狙いながらも、まずは記録を刻むことが大切だ。

 選手は、名前を呼ばれてから1分以内にバーベルを床から離さなければならず、両足の底以外は床に触れてはいけない。持ち上げる際は左右のバランスを保ち、腕を伸ばしきる必要がある。最後は両足を結ぶ線と胴体、バーベルが平行になった状態で静止。試技の成否を判断する審判から合図が出る前に下ろすと、その時点で失敗になる。(松本龍三郎)