智弁和歌山、サヨナラ決めた1年生 先輩も「尊敬する」

山口裕起
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 (23日、高校野球和歌山大会 智弁和歌山3―2初芝橋本)

 先輩たち、しっかり。サヨナラの打球には、そんな思いがこめられていたのかもしれない。

 タイブレーク(無死一、二塁から攻撃)に突入した延長十三回。送りバントで1死二、三塁となり、智弁和歌山の小畑虎之介が左打席へ向かう。九回に三塁の守備から途中出場し、2安打を放っている背番号15の1年生だ。カウント2―2からの5球目。チェンジアップをきっちりすくい上げ、右翼へ運んだ。「強気な気持ちで、とにかく思いっきり振りました」

 犠飛でサヨナラの走者を迎え入れると、歓喜の輪の中で、先輩たちからもみくちゃにされた。「よくやった」「おまえ、すごいな」。九回以降は毎回、好機をつくりながらも、あと1本が出ない展開が続いた。十二回の攻撃を終え、小畑は冷静に考えていた。「打順的に、十三回はチャンスで僕に回ってくる。こうなったら、もう僕が決めてやろうと思っていました」。狙い通りだった。

 苦しい展開だった。二回、失策で許した走者を犠打で進められ、暴投で先制点を奪われた。打線は相手右腕の110キロ台のスライダー、チェンジアップに手を焼く。六回に追いつき、七回に大仲勝海(3年)の適時打で勝ち越したが、畳みかけられない。流れを確かなものにできず、九回にまたも暴投で追いつかれた。

 エースの中西聖輝(3年)を十回から投入。「ここで負けるわけにはいかない」と、右腕は4イニングを無失点でしのぎ、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 チームは2017年から連続で夏の甲子園に出場する。ひやひやで準々決勝を突破し、中谷仁監督は「一昨年の甲子園星稜戦でタイブレークをした経験が大きかった。最後は小畑がよくやってくれた」。大仲も「あいつは肝っ玉がすわっている。尊敬する」と脱帽する。

 ヒーローは「これでチームが乗っていければ。守備の方が自信がありますが、次も打ちたいです」。試合後のベンチ裏。ふがいない試合に表情を曇らせる先輩たちを横目に、にこにこ笑っていた。(山口裕起)