「ズッコケ三人組」那須さん死去 法廷で訴えた危機感

高橋豪
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 山口県在住の児童文学作家、那須正幹(まさもと)さんが79歳で死去して一夜明けた23日、各地で悼む声が上がった。

 那須さんが1978年から暮らした防府市の市立防府図書館は23日、特設コーナーを設け、略歴とともに20冊ほどの著書を並べた。那須さんは作品を出す度に寄贈していた。朝から多くの市民が借りに訪れたという。9月6日までの予定。

 会社員北住隆亮さん(34)は、初めての夏休みを迎えた小学1年の子どものために「ズッコケ三人組」シリーズの本を借りた。「自分が小学生の頃は本好きではなかったが面白かった。新しい本が出なくなるのは残念」。小学3年の田浦亜虹(あこ)さんは初めて「ズッコケ三人組」を借りた。「帰ったらすぐ読みたい」

 出身地の広島で被爆した経験を持つ那須さん。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法(安保法制)に反対する市民運動の中心的役割も担った。共同代表を務め、衆院選で野党共闘をめざす市民団体「市民連合@やまぐち」の23日の会合にも参加予定だった。

「安保法制が成立し、描けなくなってしまった」

 亡くなる前日の21日には、原告団長として安保法制が憲法に反すると訴えた裁判が山口地裁で請求棄却された。共同代表でともに活動してきた弁護士の内山新吾共同代表はこの日、那須さんが法廷で行った意見陳述の内容を紹介した。

 「安保法制が成立したために、平和で民主的な日本に暮らす元気で明るく活発な子どもたちの姿を描けなくなってしまった。戦時下の重苦しい世の中に戻したくない。子どもや孫たちを戦争に巻き込ませたくない」

 3月の最終弁論では、手を震わせながらも力のこもった声で「5年後、10年後に、『ああ、あの時違憲判決を下してよかった』と思える日が必ず来ます」と語っていた。内山共同代表は「子どもたちのことを心から思っていた。思いを引き継いでいかないといけない」と悼んだ。(高橋豪)