「首まで水」中国豪雨で地下鉄が浸水 駅で心肺蘇生も

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鄭州=井上亮
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 中国河南省鄭州市の豪雨で、浸水して多くの犠牲者を出した地下鉄に乗っていた乗客2人が朝日新聞の取材に応じ、緊迫した当時の状況を語った。被害状況も明らかになりつつある。河南省は23日、省内の死者数は計56人に達し、5人が行方不明だと明らかにした。

 鄭州人民医院の実習生だった于逸飛さん(26)は20日午後5時ごろに実習の初日を終えて自宅に帰ろうと最寄りの駅から地下鉄に乗り、家路を急いだ。16日からの大雨はこの日も降り続いていた。20分ほどたったときに突然「ドン」という音がして、地下鉄が止まった。帰宅ラッシュの時間で乗客は多かったが、誰も状況がわからないうちに、足首まで水がたまっていた。突然、前方の車両のドアが開いて、運良く脱出できた。

 トンネルを歩いて近くの沙口駅まで避難。駅のプラットホームは避難者であふれていた。外に出ようとした時、「医者はいませんか」という声が聞こえ、引き返した。呼吸困難になっている高齢者もいたが、カバンに入れていた白衣を身につけ「大丈夫。冷静に」などと声をかけながら救助にあたった。手や足に擦り傷を負った人に包帯を巻いた。床には血が流れていた。2~3人には心肺蘇生を施したという。

 夢中で十数人を手当てして、外に出たのは午前0時ごろだったという。「自分ができることは決して多くなかったが、医者としてやるべきことをやった」と話した。于さんは活躍が認められ、病院から22日に医師として正式に採用された。

 1両目に乗っていた女性(28)は電話取材に応じた。夫と営む串焼き店から自宅に向かおうと、午後5時半ごろに沙口駅から乗車したところ、事故に巻き込まれた。発車して2~3分たってすぐに停車。車外では濁流が勢いよく流れ、何が起きているかわからない間に車内に水が入ってきた。身長170センチの女性の首のあたりまで水につかり、乗客が多かったため、空気が薄くて苦しかったという。夫が消火器を使って窓を破り、逃げ出した。「本当に怖くて生きた心地がしなかった」と振り返った。携帯電話の電池がなくなり、時間の感覚もなくなっていたが、地上に脱出した時は午後10時半になっていた。

 地下鉄の運営会社は22日…

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