土砂の撤去時期見通せず 発生から3週間 熱海土石流

村野英一
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 静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害は24日、発生から3週間を迎える。これまでに19人の死亡が確認された。なお8人の行方がわかっておらず、連日1千人体制の捜索が続く。地区を分断する土砂の撤去時期は見通せず、生活再建の障害になる恐れが出ている。

 逢初(あいぞめ)川右岸の小高い場所にある墓地で23日、菊池保子さん(74)が除草剤をまいた。親族の田中路子さん(享年70)が土石流の犠牲になった。「早く埋葬できるように、きれいにしておきたい。前へ進めるように」。田中さんが被災した家は菊池さんの実家だ。「押しつぶされ、何も残っていない」

 田中さんの家の周辺では、今も二階屋の1階がえぐり取られ、電信柱や巨木がなぎ倒されたままだ。最近、ようやく周辺に入れるようになった重機が土砂の撤去作業にあたっている。

 市は、全国から駆けつけた緊急消防援助隊の帰還手続きを知事に要請した。援助隊は、重機が入れなかった現場で手作業で土砂を掘り、捜索にあたってきた。週明けからは、重機による作業が本格化する。

 被害を拡大させたとされる盛り土については、どれだけ流れ、撤去できたか把握できていない。現場は急峻(きゅうしゅん)な地形で道も狭く、ダンプカーが入れない。東海道新幹線の山側では、せき止められた土砂が多く残されており、撤去完了時期は見通せない。搬出された土砂の置き場も課題だ。現在、熱海港の敷地に置いているが、許容量の限界に近づいている。

避難者334人 生活道路が再開めど立たず

 市内のホテルに身を寄せている避難者は、334人(23日現在)。水道などの復旧が進み、先週から100人以上が自宅に戻ったが、生活道路である国道135号は逢初橋の強度を補強する工事が必要で、通行再開のめどは立っていない。通学路の安全確保も難しく、地元の伊豆山小学校は二学期が始まる8月下旬も校舎を使わない見通しだ。

 23日夕の市災害対策本部会議で、気象庁の担当者は来週前半に東日本に近づく台風について「影響が出る可能性がある」と説明した。斉藤栄市長は土石流の起点となった場所について「新たに崩れる可能性がゼロではない。前倒しで、しっかりした避難誘導をやっていく」と述べた。(村野英一)