日本航空の4番が大一番で活躍 他の部活の思い背負って

玉木祥子
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日本航空・和泉颯馬選手

(23日、高校野球山梨大会決勝 日本航空2-1富士学苑)

 今大会、5試合とも4番を務めた。その役割を「勝負どころで打つこと」と言う。

 四回2死三塁の好機で打席が回ってきた。相手の河村投手は低めのスライダーが決め球で、準決勝では甲子園常連の山梨学院を抑えていた。球を見極めて、高めに浮いたスライダーを狙うことをチーム全体で徹底し、決勝に臨んだ。

 3球目。狙い通りの浮いた球を右翼方向へはじき返すと、三塁走者が生還し、2点目をあげた。一塁上で思わずガッツポーズが出た。決勝の大一番で4番の役割を果たした。

 2008年以来、甲子園からは遠のいていた日本航空。自分たちが変えようと新チームになったときに話し合った。「野球も勉強も全力で取り組み、私生活においても気を抜かない」と久次米陸士主将を中心に決めた。

 学校では他の運動部も含めて、下宿する生徒を束ねる寮長を務める。豊泉啓介監督からの推薦で模範生徒にも選ばれた。「日頃の行いが良ければいつかそれが野球に返ってくる。今日のヒットもそうかも」と照れ笑い。

 決勝前日、他の部活の3年生たちから、エールが込められたメッセージ動画をもらった。6月に校内で新型コロナクラスター(感染者集団)が発生し、インターハイの県予選に出られなくなった部活もある。「みんなの悔しい思いも背負っていたので、なんとしてでも甲子園に行ってやると思っていた」

 昨秋と今春の県大会ではいずれも準優勝。「また負けるわけにはいかなかった」。三度目の正直となった決勝戦。クラスターの影響で、大会前は実戦的な練習が十分にできなかったが、「コロナを言い訳にしたくなかった」。試合終了直後、うれし涙を浮かべた。

 ただ、八回2死一、二塁の好機で打ち取られた場面を課題として挙げる。「チャンスで打てないとダメ」。こう自分に厳しいのは、すでに甲子園を見据えているからだ。「甲子園に出るのがゴールではない。甲子園で勝てるチームが目標なので。ここぞというところで打ちたい」。同級生たちの思いを追い風にして、13年ぶりの甲子園に挑む。(玉木祥子)