史上最年少、食らいついたシリアの卓球少女「紛争起きても夢のため」

卓球

吉永岳央
[PR]

 初の大舞台は、試合時間24分で幕を閉じた。

 東京オリンピック(五輪)の出場最年少選手で、シリア卓球代表、12歳のヘンド・ザザ。24日の女子シングルス予選に登場し、27歳上のオーストリア選手に挑んだがストレートで敗れ、大会を終えた。

 「もっと良いプレーをしたいと思っていたけど、相手が強かった。ベストは尽くしました。次はもっと良い結果を残せるように頑張ります」

 鋭いバックハンドレシーブなどは披露したが、相手は五輪出場6度目のベテラン。序盤からペースを握られた。「相手選手は経験豊富で、私は初めての五輪。心の準備するのが大変でした。でも、それは何とか克服できたと思います」。その言葉の通り、第2ゲームは9―11まで食らいついてみせた。

 出身は、一時は過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下に置かれていたシリア中部のハマ。リオデジャネイロ五輪で二つの金メダルに輝いた丁寧(中国)が憧れといい、2016年から五輪の舞台に目標に定め、懸命にラケットを振ってきた。

 ただ、練習環境は決して十分でなかった。停電でトレーニングが中断したり、器具がそろわなかったり、同じレベルで打ち合える練習パートナーがいなかったり。それでも、20年2月にヨルダンであった西アジア予選を制し、五輪切符をつかみ取った。1年延期がなければ、11歳で東京にやってきたことになる。

 夢にみた東京五輪。敗れはしたが、世界中の子どもたちへこんなメッセージを送った。

 「この5年間、私は様々な経験をしてきました。紛争が起こった時も、五輪が延期された時もとても大変でした。でも、自分の夢のために戦い、困難な状況にあっても懸命に努力すれば、必ずゴールにたどり着くことができます」

 12歳204日での出場は、五輪の卓球史上の歴代最年少記録(15歳118日)をも大幅に塗り替える快挙に違いなかった。吉永岳央