打ちあぐねていた相手の先発投手を、日本の4番に座る山本優の一振りが救った。0―0の四回1死一塁。追い込まれてから外角球にバットを合わせると、打球は鋭いライナーで右中間フェンスを越えた。この試合のチーム初安打で、2点を先取した。
21日の第1戦に続く一発。だが、子どもの頃に数学が得意だったという本人は、「打撃はあんまり好きじゃない」。なぜか。
「理論に沿って打てば、必ずヒットになるはずじゃないですか。その理論が外れているから、凡打になる。理論の答え=ヒットが当てはまると楽しいと思いますけど、打撃は外れることの方が多い」
ソフトボールの中では「走塁」が好きだという。今年5月の女子日本リーグでは、こんなプレーがあった。
打順がいつもの「4番」から「1番」に移り、一塁に出塁した。打者が安打を放ち、一気に三塁へ。外野からの送球を受けた二塁手が隙を見せると、本塁に突入し、生還した。
1987年のプロ野球日本シリーズで西武の攻撃中、一塁走者の辻発彦(現・西武監督)が中前安打と内野への返球に間に、本塁を陥れたプレーを思い起こさせた。山本は言う。「自分が一歩早く判断できたことによって、アウトかセーフかが変わる。これが楽しいんです」
常々「みんなで勝つことがうれしい」と語る。チームのことを第一に考える中心打者が、開幕3連勝をたぐり寄せた。(井上翔太)
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