「正直、怖さもあった」大橋悠依、瀬戸大也が失敗した作戦で金メダル

競泳

照屋健
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 瀬戸大也が最後に力を抜いて男子400メートル個人メドレー予選敗退の憂き目を見た24日、その1時間後に女子予選に臨んだ大橋悠依も、実は同じ作戦で泳いでいた。「正直、怖さもあった」。大橋は言う。

 競泳は夜に予選、午前中に決勝が組まれた。北島康介さんらを育てた平井伯昌監督は、体が動きやすい夜の予選で、海外勢は力を発揮してくると読んだ。決勝進出ラインと実力を測り、大橋も300メートルまでは積極的に行き、その後は力を温存する作戦を立て、3番で通過した。

 決勝の朝。平井監督は大橋に言った。

 「周りは悠依が一番余裕を持っていると思っている。自分に集中しよう。メダルは堅い。色を変えられるかは、自分次第だ」

 スタート。海外勢に余力が残っていなかったのは、平井監督の予想通りだった。大橋は300メートルを首位で折り返すと、最後の自由形で、前夜とはうってかわって力を思う存分爆発させた。「ここで追いつけないのは、ライバルにダメージになる」。300~350メートルのラップタイムは全選手で一番速い31秒38。そのまま逃げ切った。

 「これまで全然ダメダメで……。とれるとも思っていなかったので」

 競泳選手では遅咲き。大学2年までは貧血の症状に悩み、「もうやめよう」と思った。2017年の世界選手権200メートル個人メドレーで銀メダルを取ると、エース候補といわれて重圧に苦しんだ。そのなかでも、「自分の可能性を信じる」と思いを貫いた。決してずっと強かったわけではない。恩師や自分を信じた先に金メダルがあった。(照屋健)