サヨナラ打のソフト・山田恵里主将 リーグでは歴代最多安打の求道者

ソフトボール

井上翔太
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 東京オリンピック(五輪)が始まってから苦しんできたキャプテンが、日本を決勝の舞台に導いた。

 タイブレークに入った八回1死満塁。2ボールから、積極的に振った。ライナー性の打球が中前で弾む。サヨナラ勝ちを決めると、右手を突き上げ、祝福に訪れた仲間と抱き合った。

 22日のメキシコ戦では中堅の守備位置で、一時同点を許す落球(記録は安打)。宇津木麗華監督から「振る気持ちが必要」と発破をかけられ、1番で起用された前日のイタリア戦も無安打。途中で代打を送られた。「迷惑ばかりかけていた。今日は少しは力になれたかな」

 日本代表の主将には、多くのルーティンがある。

 「打席に入るのは、左足から」「投手を真っすぐ見つめるため、構える前にバットを立てる」

 打席だけではない。

 「朝起きたら、まず素振り。ティー打撃では、まず片手で打つことから始め、本数も決まっています。毎日、毎回、同じことを繰り返していると、違いに気づけて、修正点が見つかるんです」

 女子日本リーグでは、歴代最多の433安打。「女イチロー」と呼ばれるゆえんである。

 相手バッテリーとの勝負では、狙い球を絞りきる。「過去に対戦したことがある投手だと、メモを10分間ぐらい読み返して、『あのときの何球目は、この球種だった』とかを頭に入れてます」

 過去には正反対に、狙いを決めず「来た球を体の反応で打つ」ことに挑戦したこともあった。「探る」というテーマを掲げた2019年が、そうだ。だが、日本リーグでの打率は2割4分6厘。かつて4割台を複数回マークしたこともある山田にとっては、不本意だった。「探ってきたけど、やっぱり今まで継続してきたことが、自分にとっては大事なことだなと」

 自身の打撃論を理路整然と語る一方で、スタジオジブリ映画「魔女の宅急便」が大好きだという。

 「昔は、ほうきをまたいでみたことも、ありました。ところで(黒猫の)ジジは、なんでしゃべれなくなったんですか? (主人公の)キキが魔法を使えなくなったから? ショックです……」

 記者が「私は子どもの頃に何度も見たので、だいたいのセリフが分かる」と伝えると、山田は「私もそのレベルです。非現実的なものを求めているのでしょうか」。

 ソフトボールも、ジブリ作品も、求道者は自分が好きなものに、とことんのめり込む。井上翔太