第1回打てば打つほど作業増 ワクチン不足は医療機関のせい?

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編集委員・沢伸也
【動画】ワクチン接種の舞台裏 ワクチンの発注量や在庫など=関田航撮影
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 倉庫室の一角にある、サイズも形状も家庭用洗濯機のような冷凍庫。中は零下75度に保たれている。上部のふたを開けてもらい、さらに中ぶたを外すと、一気に冷気が吹き出してくる。冷凍庫の底には、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの箱がひとつ。

 箱の中には瓶が195本。接種回数にして1170回分だ。「以前はこれが3~4箱あったんですが……」というのは、東邦鎌谷(かまがや)病院で接種の責任者を務める川尻尚子(ひさこ)副院長。7月中旬、取材に訪れた記者にこう説明してくれた。

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ワクチンはどこに

 千葉県北西部に位置する人口約11万人の鎌ケ谷市。160床を有する同病院は、市の中核病院と位置づけられている。65歳以上の高齢者の接種を始めたのは5月25日。以後1週間で373人に接種した。

 菅義偉首相が「(高齢者への接種を)7月末までに終えるよう取り組む」「1日100万回接種を目指す」と発言する中、5月31日に市の医師会から7月末までに高齢者の接種を終えたいと協力を求められ、計画を作成。6月に入り、日曜日も含めて週6日実施し、平日は200人以上、日曜日は1千人以上と週2千回以上の接種を行った。

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新型コロナウイルスワクチンはマイナス75度を保つ冷凍庫の中にあった。底にあるのがワクチンの入った箱だ=2021年7月13日午後、千葉県鎌ケ谷市の東邦鎌谷病院、関田航撮影

 総接種回数は1万2185回(7月25日現在)。金井英樹院長は、「このペースは計画通り。政府が言うように『接種が想定以上に進んだ』わけではありません」という。

 「異変」が起き始めたのは6月中旬だ。2週間(7月5~18日)で使う4箱分を、希望量の注文などをするワクチン接種円滑化システム(V―SYS)で国に要望したところ、実際の供給を担う鎌ケ谷市から、「1箱しか配分できない」と連絡があった。そのメールはこうだ。

 「7月末に高齢者の接種が完了する計画でしたが、ワクチンが供給されないという事態が起きるとは想定していませんでした」

 国が「市中にある」とする新型コロナウイルスワクチン。一方で供給量不足により、予約停止を余儀なくされている自治体が次々声を上げている。首都圏を中心に感染が拡大する中、接種の現場はいま、どうなっているのか。そして、ワクチンはどこに――。

 こうした事態を受け、千葉県

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連載ワクチンはどこに(全2回)

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