「欧州最後の独裁者」が任期制限? ささやかれる逃げ道

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モスクワ=喜田尚
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 強権体制を続けるベラルーシのルカシェンコ大統領(66)が進める憲法改正が波紋を呼んでいる。発表された改憲草案に、予想に反して大統領の任期制限が盛り込まれたからだ。文字どおりに解釈すればルカシェンコ氏は4年後の次期大統領選に出馬できなくなる。ただ、激しい反体制派弾圧で権力に執着を見せる「欧州最後の独裁者」だけに、その腹の内を疑う声がもっぱらだ。

 ルカシェンコ氏は2月に改憲の日程を明言。年内に改憲案を示し、来年初め国民投票を実施するとした。注目されたのは、ルカシェンコ氏が発足させた憲法委員会が今月22日提出した改憲案の草案だ。「同じ人物は2期10年を超えて大統領に就けない」と明記した。

 1994年就任のルカシェンコ氏は2年後に国民投票で自らの任期を延長。強権体制を固めて2001年に再選を果たすと、04年には憲法改正で任期制限を撤廃した。今は6期目。草案が実現すれば25年の大統領選への立候補は不可能だ。

 しかし、現段階で素直にルカシェンコ氏の引退を予想する声は皆無に近い。

 昨年改憲されたロシアでは当初、通算4期目のプーチン大統領自身が任期を通算2期までに限ることを唱えた。しかし議会で採決される間際に与党議員が「改憲前の大統領の過去の任期は制限対象にしない」との修正を提案。結局プーチン氏はさらに2期12年、36年まで続投可能になった。

 ベラルーシでも、憲法委員会の席で憲法裁長官でもあるミクラシェビッチ委員長が「(草案は)今後国民的議論を経て国民投票にかけられる」と話した。「国民的議論の結果」を理由に修正される可能性は、最終案決定の土壇場まで残る。

 改憲を成立させた上で次期大統領選を現行憲法下で実施する「ウルトラC」を予想する声も出た。政治評論家ワレリー・カルバレビッチ氏は草案に改憲施行日の記述がないと指摘。ロシア紙「独立新聞」に「25年の施行なら状況は今とほとんど変わらない」と語った。施行が次期大統領選でルカシェンコ氏が当選を決めた後まで先送りされれば、もう1期、30年まで続投できる計算だ。

■そもそも、なぜ改正?…

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